高橋　やっぱり2000年の日本シリーズですかね。あの日本シリーズは今、改めて振り返ってもめちゃくちゃ盛り上がっていました。引退後も含めて観て来た日本シリーズの中で報道陣の数もファンの数も一番多いと感じるほど注目度が高かった。それをルーキーイヤーから経験してしまったので、以降は物足りないと感じるほどでした。

――2000年日本シリーズ「ON対決」は今でもよくピックアップされます。

2000年の日本シリーズ第5戦に先発。シリーズ初登板初完封を果たした（2000年撮影）　©BUNGEISHUNJU

高橋　やはり王（貞治）さんと長嶋さんがあの雰囲気を作ってくれていたんだなと。その場所に立てたことは今、考えてみても不思議。でも、語弊があるかもしれませんが、新人だった分、絶対に勝たなくちゃいけないという過度なプレッシャーは感じていなかった。だから良い成績が出せたのかもしれません（※先発した第5戦で完投完封、日本一に王手をかける勝利に貢献。シリーズ優秀選手に選出）。歳を取れば取るほど、ジャイアンツの重さをヒシヒシと感じてくるもの。若いうちは重荷にならないようにと、伸び伸びプレーさせてもらえたことを先輩たちに感謝しなくてはいけないですね。

――その「ONシリーズ」での登板前、周囲からはどんな声を掛けられました？

高橋　登板前日、村田真一さん（捕手）から電話をもらいました。シーズン中は村田善則さんとバッテリーを組む機会が多かったんですが、シリーズはベテランの村田さん（真一）だったんです。「明日マスクを被ることになったんや。ヒサ、どーや？」って。年齢もひと回り違う大ベテランです。どうもこうも「普通に過ごしてます」と会話したことを覚えています（笑）。

――長嶋監督からの言葉はありました？

高橋　試合が終わってから「ナイスピッチング」、「よくやった」と声を掛けて下さいましたね。

――長嶋さんは試合後に言葉をかけることが多かったんですか？

高橋　そうですね。良いときは本当に褒めてくれた覚えがあります。でも長嶋さんは勝負に厳しい人だったので、ダメな時はすごく叱られました。新人ながらまさに勝負師だなと思っていました。

原辰徳監督とお風呂で2人に……

――その長嶋さんの下でヘッドコーチを務めていた原辰徳監督が現在指揮をとっています。監督としての原さんはどんな印象ですか？

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