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原辰徳監督とお風呂で2人に…45歳高橋尚成が振り返る巨人時代「ヒサ、お前はすぐ調子乗るんだから」
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byKYODO
posted2020/12/24 17:05
高橋尚成は1975年4月2日生まれ、由伸は同年4月3日生まれ
高橋 20年近く前ですから、確か原さんもまだ40代ですよね。兄貴が監督になったという感覚と言いますか……監督1年目でいきなり日本一(2002年)になりましたし、僕たちにたくさん気を配っていただいていたなと思いますね。現在は立場も違いますが、今見ても選手たちとしっかりコミュニケーションを取っているように“言葉がうまい”印象がありました。
――原監督の印象に残っている言葉はありますか?
高橋 ちゃんと人の特徴を掴んで叱咤激励してくれるんですよね。覚えているのは僕が先発復帰を果たした2007年。前半戦から調子がよくて4月に5連勝していたころ、たまたまお風呂で一緒になったんです。いわゆる裸の付き合いというやつです。そこでお風呂に入りながら「ヒサ、これからだぞ。お前はすぐ調子乗るんだから」と釘を刺されました(笑)。
それまで自分のピッチングスタイルに変化球でかわすイメージを持っていたんですけど、その風呂で「いい時も悪い時も必ずストレートを中心に投げなさい」とアドバイスをもらってから意識が変わりました。攻めていけよというメッセージだったんです。その年は日本シリーズを逃しましたが(この年から導入されたCSで敗退)、初めて個人タイトル(最優秀防御率)を獲ることができました。
菅野投手のMLB挑戦、どう見ている?
――今季のオフの話題として、菅野智之投手がMLB挑戦を表明しました。先輩として、どう見ていますか?
高橋 まず、あれだけの選手のポスティング移籍をジャイアンツが認めたことが嬉しかったですね。時代の流れなのかもしれないけど、僕らの時は上原がポスティングしたいと言ってもなかなか許してもらえなかったですからね。僕自身、MLBという最高峰の舞台でプレーできたことで野球人として1つステップが上がりました。もちろん、日本の野球のレベルも高いですけど、MLB挑戦は今後の菅野投手のためにもなります。たとえ結果が出なくても、プラスになって日本に帰ってこれると。まぁ、僕は間違いなく成功する逸材だと思っていますけどね。田中将大投手、前田健太投手と同じように活躍できると見ています。
――アメリカで活躍するためにはどんなことが必要でしょうか。尚成さんが苦労したことは?
高橋 やっぱり言葉の壁はどうしても出てくると思う。その点、ダルビッシュ(有)投手は通訳をつけずに自分の言葉で話しています。それにより正しいニュアンスで伝えられることでストレスも減りますよね。あと、とにかく成功するためにはあんまり細かいことを気にしない方がいい。
――細かいこと?
高橋 日常生活で、たとえば宅急便が届かない、とか(笑)。日本だったらエライ騒ぎになることが日常茶飯事のように起こる。僕も買ったものが違っていたとかよくあったので、そんなの当たり前だと思って生活することが大事です。日本ではあり得ないことがアメリカではよく起こるということです。
菅野投手のスゴいところは……
――実力面では菅野投手は十分通用すると?