スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
大谷翔平と今季不調だった実力派。「全盛期の8割」で投球練習中…“二刀流”の復活なるか?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2020/12/19 06:00
投打ともに不調に終わった今シーズン。怪我のリハビリや新型コロナの影響で調整不足だったと振り返る
アルトゥーベの不振は「サイン盗み」の余波か?
ノーラン・アレナド(ロッキーズ)やホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)も、実力を大きく下回るシーズンを送ってしまった。
15~16年に本塁打王と打点王の2冠に輝き、18年にも本塁打王を獲得したアレナド(昨年までの5年間で合計199本塁打)は、今季、2割5分3厘、8本塁打、OPS=.738という打撃不振にあえいだ。8年連続のゴールドグラヴは立派だが、バットの湿りは信じがたい。左肩の負傷に祟られたと見る向きもあるが、入団以来8年、いつまで経っても覇権を争えるチームを作らない球団の姿勢に嫌気がさしているという声も聞こえる。もしかすると、チーム強化に注力中のメッツあたりが触手を伸ばしてくるかもしれない。
アルトゥーベの不振も、「サイン盗み」の余波だったのだろうか。2割1分9厘、5本塁打、OPS=.629という数字は、チームに向けられた白い眼を考慮しても、首をかしげたくなるものだ。14年から4年連続で年間200安打以上を記録し、そのうち3度も首位打者に輝いた安打製造機が、今季はまるで別人だった。ようやく調子が出てきたと感じさせたのはポストシーズンに入ってからで、あれはおそらく、居直りに近い気持が生まれたためだろう。
大谷翔平の絶不調
そういえば、大谷翔平の絶不調も受け入れがたいものだった。
投手として2試合に先発し、1回3分の2で7点を失った(防御率=37.80)のは、手術明けを考えると仕方のない面もあったが、打者として44試合に出場し、153打数29安打、1割9分、7本塁打、24打点、OPS=.657という数字は、本来の力を考えると異様なまでに低い。守備シフトにはまってしまったとか、内角高目のライジングボールに手を出しすぎたとか、不振の原因はいろいろ取り沙汰されたが、弱点を見つけてきびしく攻めてくるのは大リーグの常識だ。