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「不謹慎かも知れないけど…」レース前の新谷仁美の姿が泣けた理由…29年ぶりの陸上「神回」を振り返る
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKYODO
posted2020/12/09 17:03
女子10000m、日本新記録をマークして優勝し、感極まった表情の新谷仁美。東京五輪代表に内定
「まだまだスピードが足りないと思っているので、5000であったり、3000であったり、もう少し短い距離もしっかり走れるようにしていきたいです」
世界の舞台でのラスト勝負を念頭に置いているのだろう。
数年後には26分台も見えてくるかもしれない。
1991年以来の「神回」
本当はもっと他にも書きたいことはあった。
男子5000mでの吉居大和(中大)の果敢な走り、女子5000mの田中希実(豊田自動織機TC)と廣中璃梨佳(日本郵政グループ)のマッチレースは、実に見ごたえがあった。
いい大会だった。
おそらく、日本国内で行われた大会としては、1991年8月30日、かつての国立競技場で行われた世界選手権、男子走り幅跳びでカール・ルイスが8m91、マイク・パウエルが8m95と世界記録を更新し、今も語り継がれる一騎打ちを繰り広げられて以来の「神回」ではなかったか。
日本の陸上界が、ますます面白くなってきた。