熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
本田圭佑ポルトガル移籍の噂&退団騒動を整理 「とっとと出てけ」の声を黙らせるためには…
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/12/08 11:02
フラメンゴ戦で先発出場した本田圭佑。ボタフォゴファンを歓喜させる日は来るのか
しかし最初の対戦となった8月23日の試合(アウェー)では、ボールロストやパスミスが多かった(結果は1-1の引き分け)。そして、今季最後のフラメンゴ戦でも精彩を欠いた。入団会見での“公約”は果たせなかった。
残留は十分可能だが絶体絶命のピンチ
ボタフォゴは、リーグ戦5連敗。コパ・ド・ブラジル2試合を含め、10試合勝ちがない(3分7敗)。リーグでは23試合を終えて3勝11分9敗(得点22、失点30)で、残留圏内の16位からは勝ち点5差だ。
リーグは残り15試合で数字上、残留は十分可能だ。だがクラブが不可解な監督交代を繰り返してチームは崩壊状態にある。好材料が見当たらず、チームも本田も絶体絶命のピンチに追い込まれていると感じる。
当初は“セードルフの再来”と期待された
本田のボタフォゴ入団からここまでの10カ月を振り返ってみよう。
2月7日、リオ国際空港で数千人のサポーターから熱狂的な歓迎を受け、その翌日、ホームスタジアムで1万数千人の前で入団発表を行なった。ファンが本田に期待したのは、「近年低迷するクラブの救世主としての働き」。理想は、2012年7月から2013年末まで在籍した元オランダ代表MFクラレンス・セードルフだ。攻守両面でチームを牽引し、2013年のリオ州選手権優勝とブラジルリーグ4位に貢献した。
本田は、3月15日のリオ州選手権の試合でデビューし、PKを決めて幸先の良いスタートを切った。その直後、新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズンが中断されたが、6月末にリオ州選手権が再開された。パウロ・アウトゥオリ監督(2006年に鹿島、2015年にC大阪を指揮)は本田を主将に指名し、ボランチとして起用した。
8月上旬にブラジルリーグが開幕し、9月5日の強豪コリンチャンス戦で惜しいシュートを放つなど奮闘したが、13日のバスコダガマ戦では運動量が乏しく、前半42分に交代を告げられた。一方で17日のコパ・ド・ブラジル4回戦の第1レグで決勝点の起点となり、守備面でも貢献。23日、第2レグで引き分け、ボタフォゴはベスト16に進出した。
しかし30日、リーグ戦で敗れて19位に沈むとアウトゥオリ監督が辞任。ブルーノ・ラザローニが監督に招聘された。