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本田圭佑ポルトガル移籍の噂&退団騒動を整理 「とっとと出てけ」の声を黙らせるためには…
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/12/08 11:02
フラメンゴ戦で先発出場した本田圭佑。ボタフォゴファンを歓喜させる日は来るのか
この発言は大きな物議を醸した。ファンは、本田の残留を望む声と「チームに貢献する気持ちがないなら、とっとと出ていけ」という声にほぼ二分された。地元メディアは、「クラブ幹部はこの発言を快く思っていない。本田は退団するかもしれない」と報じた。
翌28日、本田はクラブの強化部長と話し合った。一連の監督交代などについてクラブ側の説明を聞く一方、自らの考えや要望を伝え、結果として退団を見合わせた。
ポルトガル移籍報道後に残留を明言
しかし、ボタフォゴの混迷は留まるところを知らない。30日、バロッカ新監督の新型コロナウイルス感染が確認され、当面、コーチが監督代行を務めることが発表された。さらに5日、日本のメディアが「ポルトガル1部ポルティモネンセが来年1月の獲得を目指して本田にオファーを送った」と報じた。
これに対して本田は冒頭で紹介したツイッターで残留を明言。自身が運営する音声配信サービス「ナウヴォイス」でも「オファーを受けたのは事実だが、すでに断った。ブラジルリーグは2月末まで続き、(降格の危機にあるボタフォゴを)1月に退団することはできない。それはチームのためでもあるが、それ以前に自分のプライドが許さない」と語った。
代行を含めて監督が今季6人目では
今後、ボタフォゴは9日に首位サンパウロと、12日に6位インテルナシオナルとアウェーで対戦する。いずれも非常に厳しい試合になると予想され、もし連敗すれば1部残留は極めて困難になる。
本田は同サービスで「相手が強い場合、引くのではなく(高い位置から守備で)はめに行く方が良い内容の試合ができると思う。監督にそう進言したい」と語る。そして、「この苦しい状況をいかに前向きに楽しめるかどうか。さあ来い、と思っている」と彼らしい言葉を発している。
ボタフォゴは10億レアル(約202億円)超とされる巨額の負債を抱え、選手への給料遅配が頻発する。また、監督代行を含めて現在の監督が今季実に6人目。監督が代わる度に戦術と起用される選手が変わり、その都度、チームを一から作り直している印象を受ける。
このような状況で、本田は守備に奔走する時間が長く、得点にからむことが少ない。ここまでリーグとコパ・ド・ブラジルを合わせてチームの全28試合中21試合に出場し、2得点0アシストという数字もさることながら、本田らしいアグレッシブな姿勢が薄れていると感じる。