解説も初体験、新しい発見とは？

――改めて、川崎選手のお話に戻しましょう。2年前にソフトバンクを退団しました。当時は現状の姿を想像できていましたか？

　想像できてないですね。というよりも、いつも想像しません。先のことはわからないですから。

――川崎選手らしく良い方向に進んでいる？

　どうですかね。良い方向でも、悪い方向でもないのかな。でもありがたいことに解説のお仕事などをいただいて、プレーヤーとして野球をしながらお仕事もしている。これは今までの発想にはなかったし、できないと思っていた。プレーでいっぱい、いっぱいでしたから。でも野球に割く時間が短くなっても、野球がうまくなることはわかりました。見方を変えれば、いろんなところに学びがあるんだなと。

――メディアとの向き合い方も変わった？

　向き合い方を考えたし、いい意味で変わりました。メディアのみなさんも1つの物を作ろうとするプレーヤーなわけで、そこは僕たちと一緒なんだなって。みんなプレーヤーで、目的のためになんとかいいプレーをしようとしている。そういう努力を欠かさない姿を見られたことは大きかったです。

　これを引退してからではなく、プレーを続けているうちに知ることはいいことだと思いましたよ。プロ野球選手である以上、一定の縛りはあるし、SNSでの発言も気をつけないといけない。でも、ダルビッシュなんかは解き放たれているでしょ。これからはそういう時代になっていく。僕もそうでしたが、野球だけしか知らないと、野球の中の物事でしか解決しようとしなくなる。ちょっとずつでいいから変わっていけば、もっと野球界は楽しいものになると思います。

やっぱりボールを追いかけるのが好き

――来年40歳。改めて川崎宗則が大事にするものを教えてください。

　やっぱり根本的にボールを追いかけるのが好き。球場が使えない時はバッティングセンターに行っていましたから。軟式球も打ちました。みんな驚いていたけど、そういうのもまったく嫌じゃないんですよ。そのあとも、公園の広場でノックをやったり、ゴロ捕球をやったり。すると、周りもあの人は何をしてんだ？と集まってくるわけです。あれ、どっかで見たことあるぞって（笑）。僕からしたらもう「路上ライブ」。最高ですよ。いよいよ野球選手たるもの路上ライブをしないといけない時代になりました。

――今日はライブハウスだったり、ミュージシャン風な例えがたくさん飛び出しますね。

　そうでしょ？　僕はミュージシャンなんです。大きいライブハウスがNPBやMLBで、小さいライブハウスがBCリーグ。ならば路上ライブは公園やバッティングセンターですよ。どこでやっても、音楽を奏でることには変わりないでしょ？ つまり野球をしながら奏でていくんですよ。

――奏でる野球選手？

　そうそう！ きたねー、いいキャッチフレーズ。「僕は野球を奏でるミュージシャン」。

――生まれました（笑）。

　いいですね。ちなみに実際に僕はベースもやっていましたし（笑）。

限られたスペースの中でミュージシャン風のポーズを決める川崎宗則　©︎Miki Fukano

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