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来年40歳の川崎宗則が語る“仲間の引退”と新キャッチフレーズ 「僕は野球を奏でるミュージシャン」

posted2020/12/03 11:03

 
来年40歳の川崎宗則が語る“仲間の引退”と新キャッチフレーズ 「僕は野球を奏でるミュージシャン」<Number Web> photograph by Miki Fukano

来季の去就が未定のなか、2021年への思いを熱く語った川崎宗則。ムネリンはまだまだ進化の途中だ

text by

田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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Miki Fukano

今年9月から加入したBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスでいきなり特大ホームランを放つなど、健在ぶりをアピールした川崎宗則。来年の6月で40歳。共に戦った仲間たちが続々と引退を決断する中で、いまも少年のように白球を追いかける理由とは……来季への思いを語ってもらった(聞き手/田中大貴)

――シーズンお疲れ様でした。39歳で迎えた今シーズンはいろいろなことがありましたね。

 新型コロナウイルスの影響があって、台湾リーグに参加する予定が変わり、自宅待機ということになりました。今まで飛び回る毎日を過ごしてきたので、こんなに家にいたことは人生でも初めてでしたね(笑)。それでもトレーニングはずっと続けていました。自宅でやる練習に手応えを感じたりと、新しい発見が多かった1年でした。

――9月からBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスでプレーしました。

 西岡剛と一緒にプレーした事など、本当に予想してなかったことがどんどん起こりました。これから先はまだどうなるかわかりませんが、こういう人生も僕らしいなと思います。不安定さがたまらなくいい(笑)。今年は栃木でプレーすることができて本当に良かったと思っています。

――良かった、という理由は?

 NPBを目指す選手たちと一緒にプレーできたことで発見が多かったですね。これまでの独立リーグって、NPBを目指す場所であると同時に、選手によっては「野球を諦める場所」でもあったと思うんです。でもプレーしてみて、その考え方は決して良いことではないと思ったんですよね。せっかく地方にある球団なわけだから、そのエリアにいる少年たちに良いプレーを見せることに注力するべきだ、と強く思いました。そういうことに気づけたのはプレーしたからこそです。

――少年たちに見せるというのは「夢を与えられる土壌」があるということ?

 BCリーグにも夢を与えられる素晴らしいプレーがたくさんありますよ、箱が違うだけ。NPBがドームや武道館といった大きいライブハウスだとしたら、BCリーグは小さめの公民館。でも、そこにもちゃんとお客さん、子どもたちは来てくれる。NPBを気軽に観に行けない人たちや地域の方々にプロとしてのプレーを観せる、その人たちを元気にさせるということは、できることなんですよね。野球の裾野を広げるためにも、そういった“小さいライブハウス”はどんどん増えるべき。選手たちはもっとプロ意識を持ってやるべきだし、そのために選手の待遇面も改善が必要かもしれない。身体に投資できる環境も必要だと思いました。魅力がたくさん詰まったリーグなので、これからどんどん発展してほしいと思います。

初打席でホームラン「場外ですよ、場外!」

――実戦の場は約9カ月ほど空きました。プレー面はどうでしたか?

 公園で走る、鉄棒で懸垂する、バドミントンの羽を打つ、バットを振る、マシンを打つ、どんなことでもすベて実戦のために練習するというのが僕のテーマだったので良い準備ができている自信はありました。だからそこまで気にすることはなかったですよ。この練習をしておけば間隔が空いても、「プレイボール」と始まった時にできるという手応えを見つけられたので。

――BCリーグ初打席でホームランを打ちました。

 そうなんですよ! 自分でもびっくり、だって前に飛ぶんだもん(笑)。狙っていた? いやいや、狙ってない。反応ですよ。トレーニングで160キロに設定したマシンで打っていたので、その成果は出たかなと。ただ実戦の感覚がないから、ピッチャーが投げるタイミングの取り方だけ心配だったんです。でもスッと試合に入れました。

――久々の快音は嬉しかったですか?

 めちゃくちゃ嬉しかったですよ。1打席目にいきなり前に飛んで、それがホームラン。場外ですよ、場外!今までの自分では考えられないし、やったことない(笑)。

――打った感覚もよかった?

 悪くないですね。ただそのあとの変化球への対応はなかなか、ね。変化球に関してはこういう感覚が必要なんだという発見はあったので、それはこのオフにトレーニングします。20代の頃のような反応はできないんですが、そこはトレーニングで工夫してカバーしていきたい。

【次ページ】 “ガチガチの西岡剛”を思い出した

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