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来年40歳の川崎宗則が語る“仲間の引退”と新キャッチフレーズ 「僕は野球を奏でるミュージシャン」
 

text by

田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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photograph byMiki Fukano

posted2020/12/03 11:03

来年40歳の川崎宗則が語る“仲間の引退”と新キャッチフレーズ 「僕は野球を奏でるミュージシャン」<Number Web> photograph by Miki Fukano

来季の去就が未定のなか、2021年への思いを熱く語った川崎宗則。ムネリンはまだまだ進化の途中だ

“ガチガチの西岡剛”を思い出した

――先日、西岡剛選手がおもしろいことを話していました。20代の頃に戻ろうと思っても1人では難しいけど、川崎宗則と組んだ時にそれを思い出せた、と。この感覚は川崎選手もわかりますか?

 わかります、わかります。お互いが引き上げられるというか。僕も彼がセカンドにいることによって得られるものが多かったです。二遊間を組んでいると、あのWBCの風景がよみがえってくるんですよね。西岡剛が初回のセカンドゴロをいきなりエラーして……あんなプレー見たことなかったですから。「俺は緊張しない」と言っていた西岡剛が、ですよ(笑)。まあ、そこからお互い年齢も重ねて、体にもガタがきている。それはある意味ちゃんと野球選手として働いてきた証拠ですよね。ふと我に返った時に、またここで交わってプレーできているんだと不思議な気持ちになりました。

――「引き上げられた」というのは?

 メンタル的な部分。天国も地獄も一緒に味わった仲間ですから。こうやってまた戦友と一緒にプレーすることはすごいですよ。気持ちが少し楽になるというか、よし!頑張ろうってスイッチが入りますよね。

「次の楽しい人生がある。幸せなんです、みんな」

――2人はまだ現役を続ける状況にありますが、藤川球児や岩隈久志ら同世代が続々と引退しています。どんな気持ちで見ていますか?

 そういう年齢、ということですよね。自分も40になってまで野球をやるなんて思ってもいなかった。まだ辞める、辞めないの感覚はわからないんだけど、そこはこれからの自分に常に付きまとってくる感覚だとは理解しています。その感覚がちゃんとここ(胸)にあって、そいつと付き合いながらずっと進んでいる。いつでも辞められるカードがここにあるってことですよ。そんな思いを抱きながらプレーすることも楽しいですね。

――彼らの引退を見て寂しい気持ちにはなりませんか?

 引退って、あくまでも野球のプレーを辞めただけ。これから幸せな人生があるわけですよ。野球を辞めても、野球を続けていても両方ハッピー。だから野球を続けることが幸せとは限らない。

 そもそも、プレーヤーとしてあり続けることは大変なことです。この年齢になってくると、毎日のように治療を続けないといけないでしょ。たぶん、ひーちゃん(岩隈)なんかは本当に肩が痛かったと思う。肩の痛みはメンタルにもくる。球児さんもそうですよ。みんなそれぐらい酷使しながら頑張ってきた。でも、やっと解放されて、もしかしたらこれからの方がハッピーなのかもしれない。

 もちろん、ファンの方々にとっては寂しいと思うけど、朝起きて痛い、寝ていても痛い、ご飯を食べている時も痛いの。そういう痛みから解放させてほしい気持ちもあるの(笑)。だから辞めることは悲しいことだけじゃない。だからひーちゃんも球児さんもニコニコしていたでしょ? やりきったーって。明日からもう治療しなくていい! 重いもの持たなくていい! 持つのは箸ぐらいかな?(笑)。

 プロ野球を1、2年でクビになった選手だってまったく不幸じゃない。彼らにはまた違う舞台が必ずあるわけだから。そういう中でこうやってプレーをさせてもらっている僕は幸せ者だし、環境があることはありがたい。そこにとても感謝しながら毎日を過ごしていますね。

――川崎選手の1つ上の和田毅投手は日本シリーズでも投げました。これはすごいことですよね。

 本当にすごい。和田さんだってもう肩痛いはずですし、でも投げたいから毎日しっかりケアしている。和田さんも、もし引退したとしても、さらに別の場所で活躍するかもしれない。だから引退は不幸なことばかりではない。次の楽しい人生がある。幸せなんです、みんな。そういう思いで送り出して欲しいし、応援してほしい。

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