“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
鹿児島にまた“半端ない大迫”が! 柴崎岳を彷彿とさせる神村学園1年生・大迫塁は選手権で主役になる?
posted2020/11/30 17:01
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
鹿児島にまた“大迫”が現れた。
「また大迫」とは言ったものの、今回紹介するのはストライカーではない。この冬、全国に衝撃を与える存在になるかもしれない、若干16歳のゲームメーカーである。
神村学園高等部、MF大迫塁。中学時代から世代屈指のタレントとして注目を集めてきた彼は、卓越した足元の技術から繰り出されるパスと視野の広さを駆使し、1年生ながらすでにチームの核を担い、攻撃を司っている。
技術もさることながら、筆者が何よりも感心するのは「首を振るスピード」だ。中盤で“カカッ”と首を振りながら瞬時に周囲の状況を把握し、涼しげな顔でパスを通す。大迫勇也(ブレーメン)というよりは、高校時代の柴崎岳(レガネス)を彷彿とさせる瞬間がある。
「大迫は誰もが気になっている存在」とは、とあるJ1クラブのスカウトの言葉。特筆すべき才能を持つ16歳の争奪戦はもう始まっているようだ。
「将来はW杯で優勝したい」
鹿児島で生まれ育った大迫は、地元の強豪・神村学園中に進学した。2年生から伝統のエースナンバーの「14」を背負うなど頭角を現し、昨季の高円宮杯JFA全日本U-15サッカー大会では、Jリーグユースや街クラブが牛耳る中で、中体連チームとして2回戦進出に貢献。U-15日本代表でもキャプテンを任され、AFC U-16選手権予選(U-17W杯アジア1次予選)も経験した。
当然、多くのJクラブユースや各地の強豪校から声がかかったが、「鹿児島でプレーして、全国大会で優勝してからプロに行くことが思い描いた道でした」と、そのまま高等部に進学。有村圭一郎監督から託されたのはもちろん背番号「14番」だ。
チームには同じ1年生のFW福田師王という注目株も在籍しており、神村学園への注目度は日に日に増している印象だ。しかし、周囲の期待をよそに大迫は現状を冷静に見つめていた。
「(Jリーグのクラブから)早い段階で声をかけていただけるのは嬉しいですが、僕はプロになることが目標ではなく、プロで活躍してステップアップすることが目標。“高校サッカーの有名選手”で終わりたくないんです。“僕も”鹿児島からプロに進み、海外に渡って第一線で活躍したい。将来はW杯で優勝したいです」
高校1年生ながら自分の意志を明確に言葉にできる。それだけで並の選手ではないことがわかるのだが、先ほどのコメントの中に「僕も」とあったように、同じ鹿児島の先輩である大迫勇也の活躍が成長に大きく寄与していることは想像に難くない