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「不採用のたびに悔しくて凹んだ」キム・イングが米国4大スポーツ“女性初のGM”になるまで
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAFLO
posted2020/12/01 06:00
本拠地マーリンズ・パークに立つキム・イングGM
一般論ではあるが、米国に暮らすアジア系移民はスポーツよりも、学業面でのサポートが熱心な父兄が多い印象だ。移民として苦労した自身の経験をもとに、子供には大学でしっかり勉強し、安定した職業に就いてほしいと考えるのは自然の流れともいえる。娘が大学でもスポーツをすること、そして卒業後に野球界で働くことに対しての両親の理解がなかったら、女性初、アジア人女性初のGMは誕生しなかったのではないか、とも思う。
女性、少女たちに『成せば成る。限界なんてないんだよ』
現在、マイアミ・マーリンズの監督は、ニューヨークヤンキースでコーチを務めていたドン・マッティングリー氏、そしてCEOのジーターとは旧知の間柄だ。
「新たな関係性を作る必要がないので、スムーズに物事を進められると思う」とイング氏。
マーリンズは2017年にジーター氏とパートナーがオーナーシップを獲得してから、年俸の高い選手を放出し、チームの改革に着手している。またヤンキースやドジャースなどと比べると、地元ファンはさほど多くない。「チームの改革に加えて、マイアミという土地にしっかり根付き、地元の人に愛されるチーム作りをできるようにように活動して行きたい」と話す。
期待も含めて今オフからのイング氏の手腕は注目を集めることだろう。
「今までもこれからも自分の目の前の仕事をコツコツと頑張ってきただけ。スポーツ界で頑張っている女性、スポーツをしている少女たちのためにも気を引き締めて頑張っていきたい。女性、そして少女たちに『成せば成る。限界なんてないんだよ』ということを伝えて行きたい」
マーリンズというチームがどんなチームになっていくのか、イング氏がどう変えていくのか、ヤンキース時代の盟友と再びワールドチャンピオンに成る日は来るのか、これからの活躍に注目していきたい。