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“バルサに染まらない”パサー、ブンデス最速の超大型WBって誰?【水沼貴史が選ぶ必見の10人】
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byGetty Images
posted2020/11/26 17:02
現在8位に位置するシュツットガルト。遠藤航の貢献ぶりにも注目だが、右サイドにいる大型ウインガーにも注目したい
いまや、ブンデスリーガの顔
ブンデスリーガからはまず、リーグの顔になりつつあるハーランドを。昨季はリーグ途中でドルトムントに加入して13得点。どこまでスコアを伸ばすのか、と毎試合びっくりしながら見ていました。
彼のことを初めてちゃんと見たのは、ノルウェー代表として出場していた2019年のU-20W杯。ホンジュラス戦で9得点。ハットトリックのハットトリック(笑)。いくら相手が格下であっても、国際舞台でそれだけの得点は、普通は取れません。強烈なインパクトでしたね。
チームメイトに抱きつく姿も好感
今季もブンデスリーガで10点(7試合終了時点)奪っていますね。彼はボールを受ける前の「準備」がとてもいい。クロスにしても、スルーパスにしても、味方がボールを供給するタイミングをしっかり見て、トップスピードにギアを上げるランニングの質が高いです。あれだけの身長(194cm)で、ボディバランスも素晴らしいし、シュートが上手いからゴールパターンも多彩。まだ20歳なのにレバンドフスキといった経験豊富なストライカーのような印象を受けます。そういう意味では今後、世界のトップで長く活躍するFWでしょう。
あと、彼は味方の選手がゴールを決めても一番最初に抱きつくんですよね。そこが一番好きな部分。もちろんストライカーですから我は強いのでしょうけど、チームの勝利のためにプレーをしている証拠です。純粋にサッカーを楽しんでいるように見えます。まぁ、本当の性格は知らないんですけど(笑)。
魅力あふれる「サネの縦」
次に注目しているのはバイエルンに加入したサネ。マンチェスター・シティでは怪我もあって苦しい時間を過ごしました。彼自身も母国ドイツでもう一度自分の価値を高めたいというモチベーションは高いはずです。「リスタート」という意味での期待、ですね。
バイエルンにはニャブリ、コマンら豪華なウインガーを揃えますが、彼らはみんな右利き。左利きのザネが右サイドからカットインして切り込むプレーはもちろん脅威ですが、私は左サイドに置いたほうがより生きるだろうなと思って見ています。深く縦に行ける選手はなかなかいません。突破が魅力の左サイドバック、アルフォンソ・デイビスは怪我などで離れることが多いので、「サネの縦」は貴重なピースに見えます。今季は大きな怪我なく、フルシーズン戦う姿を見たいですね。