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五輪最後の1枠、阿部一二三VS丸山城志郎(66kg級)異例の一発勝負の行方【違いはスタミナぐらい?】
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2020/11/22 11:02
昨年11月の柔道グランドスラム大阪大会の男子66kg級決勝で対戦した丸山(左)と阿部
丸山が一歩先んじることになった
「待った」をかけたのが丸山だ。
2018年のグランドスラム大阪で阿部を破って優勝すると、その後も国内外の大会で優勝を重ねた。
2019年、全日本選抜体重別選手権を連覇、世界選手権代表に初めて選出された。この大会は阿部も選ばれていた。勝ち上がった2人は準決勝で対戦。丸山は延長の末、阿部を破り、決勝でも一本勝ちで初優勝を飾った。
井上康生監督は「代表争いは丸山がリード」と語り、丸山が一歩先んじることになった。
互角と言ってよい関係になって今日を迎えた
ただ、その後の大会は負傷などの影響もあり、優勝に届かない、あるいは欠場することもあり、代表の切符を手にするには至らなかった。その間、阿部が成績で巻き返し、互角と言ってよい関係になって迎えた今日がある。
コロナ禍により、畳に立てなかった日もあり、何よりも実戦の機会が長期にわたってなかった。
それぞれの拠点で練習を積み、実戦形式の取り組みもなされただろうが、試合という場がないままで迎えることがどう影響するか。
それでも隙なく準備してきたことは想像に難くない。両者の練習での取り組みを目にする機会のあった60kg級代表の高藤直寿はこうコメントしている。
「阿部選手も丸山選手も雰囲気が違うというか、オーラが出ている」
代表に内定した他の選手との、内面の違いへの実感がそこにある。
本来なら、そろってオリンピックに出てほしいくらいの2人の勝負の帰趨はどうなるのか。鍵を握るのは、大会の中での結果ではなく、両者による「ワンマッチ」であることだ。