マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
プロ野球スカウトに聞く「ヨソに獲られた選手で欲しかったのは?」阪神3位指名の… ドラフトウラ話【西武・阪神編】
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byAFLO
posted2020/11/11 17:03
「猛虎打線」復活の布石と期待される阪神1位佐藤輝明(近畿大)
何人かのスカウトの方に、「ヨソに獲られた選手で、この選手は欲しかったなぁ……って、誰ですか?」と聞いたところ、阪神3位のこの選手に“票”が集まったから驚いた。
投手・佐藤蓮(上武大・188cm101kg・右投右打・飛龍高)。
去年まで、存在も知らなかった。後で聞いたら、1年冬にヒジのねずみ(関節内遊離体)除去手術をして、ラストチャンスのこの秋のリーグ戦に、やっと間に合ったという。
「獲ってもええけど、育てきれるんですかねぇ」
「それぐらい実戦のキャリアがないのに、実戦のピッチングで“良いところ”しか見えない。1年から投げているみたいに落ち着きがあるし、球道も安定している。とにかく、指にかかった時はえげつないストレート投げますから。体も強いし、地肩も強い。ホームからバックスクリーンまで投げるらしいですよ。馬力があって、“剛腕”なのにゴツゴツしたところがなくて、きちんと連動できるフォームなんです。そうはいっても、まだ出てきたばっかりですから、まさか阪神が、それも“3位”でくるとはねぇ……」
こういう(他に獲られた)ケースは、「スカウトの仕事」としては“0点”ということになるらしい。
「獲ってもええけど、育てきれるんですかねぇ、ああいう大型本格派みたいなピッチャー……。藤浪(晋太郎)がそうやし、他にも、馬場(皐輔・3年目)、望月(惇志・5年目)、才木(浩人・4年目)……みんなファームでしょ。確かに佐藤蓮はキャリアはないけど、フォームもそんなに直すとこないし、使えるフォーク持ってるし、牽制とかフィールディングとか、ひと通りのことも仕込まれてるし、ファームで何年とかいうイメージもないですよ。変に寝かせておかないで、佐藤みたいなピッチャー、使ったらいいんですよ、早くから、巨人の戸郷(翔征)みたいにね」
獲った、獲れたが「ドラフト」ならば、からみついてくる妬みやっかみも、やはりドラフトの「風物詩」なのであろう。
「ドラフト」とは、人間が見えない“将来”を占う行事である。
なのであれば、そこは、「たら・れば」と「結果論」で語られればよく、誰が参加してもよい「自由の広場」でもあろう。
ここまで、4球団。
コロナのせいか、近年稀なほど人材豊富な年だったせいか、今年の「ドラフトよもやま話」、まだまだ出てきそうな気配だ。
(ドラフトウラ話【オリ・楽天編】 「2年連続最下位オリックスがなぜ“高校生”ばかり…」が的外れなワケ を読む)