アンタッチャブルな張本の3085安打

　最年少で2000本を打った榎本喜八は、天才打者、屈指の安打製造機と言われたが、達成後のシーズン100安打は1回だけ。急速に衰えて36歳で引退した。

　3位の張本勲は達成2年後の1974年に首位打者。1976年に巨人に移籍後も3割を打つなど、達成後6回も100安打を打ち、NPB史上唯一の3000本安打を達成した。

　張本が営々と築き上げた通算3085安打は、王貞治の868本塁打、金田正一の400勝と並び、アンタッチャブルな記録とされる。

　坂本勇人は現時点で、この記録に挑戦できる唯一の打者ではあろう。では、実際に達成の可能性はあるのだろうか？

多くの安打を打つための必要3条件

　ライフタイムで多くの安打を打つために――必要な条件は3つある。

（1）打率が高いこと
　当然の話だが、同じ打数ならより多くの安打を打つ選手の方が有利だ。安打数1位の張本勲は通算打率でも史上4位の.319だ。

（2）1試合当たりの安打数が多いこと
　打席がよく回る上位の打順を打って打数を稼ぎ、安打を量産する必要がある。張本勲の1試合当たりの安打数は1.12。2000本安打以上の打者では4位だ（1位は川上哲治の1.19）。

（3）出場試合数が多いこと
　永年レギュラーとして多くの試合に出続けないと安打数は増えない。張本の出場試合数は2752試合で、これも4位である。歴代安打数2位の野村克也は通算打率.277、1試合当たりの安打数は0.96なのだが、試合数は史上2位の3017試合。効率は良くなくとも、長く試合に出続けることで安打数を積み上げてきた。捕手という過酷なポジションながら、野村はほとんど怪我知らずで27年間も現役を続けた。

　つまり、「丈夫で長持ち」も重要な要素だ。

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