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坂本勇人、3085安打・張本勲超えへ“必要3条件”は満たすが…最大の“不安要素”とは
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki/Kyodo News
posted2020/11/09 11:04
2000本安打を達成した坂本勇人。球史に残る名ショートだが、来季32歳。張本勲超えへあと1000安打超を打ち続けられるか
最大の懸念材料は「ショートの守備」
大いに期待が持てそうな気もするが、40歳手前まで坂本が今と同様の活躍ができるかどうか、不安要素も多い。
最大の懸念材料は「守備」だ。坂本は内野で最も激職とされる遊撃手だ。坂本は一塁を3試合、二塁を1試合守り、DHで3試合出場した以外は1758試合で遊撃手として出場している。
2000本安打を打った遊撃手(遊撃手での出場が1番多かった選手)は、坂本以外に石井琢朗(2432安打)、宮本慎也(2133安打)、松井稼頭央(2090安打)、鳥谷敬(2090安打)、藤田平(2064安打)、野村謙二郎(2020安打)、田中幸雄(2012安打)と7人もいるが、晩年まで正遊撃手だった選手は皆無だ。
年齢とともに守備での負担が打撃に影響を与える。また遊撃手としてのパフォーマンスも苦しくなるのだ。
坂本勇人が尊敬し、目標としたニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーターは2747試合出場のうち、遊撃で2674試合。DHや代打での出場はあるが、他のポジションを守ることなく3465安打を打って、今年野球殿堂入りを果たした。
しかし晩年には守備範囲が狭くなり、チームの足を引っ張ったのも事実だ。
守備率と守備範囲数値RFを見ると
野村克也が「生涯一捕手」で押し通したように、坂本も「生涯一遊撃手」でやり切る道もある。しかし今後の活躍を期待するならば、現実的な選択肢として、坂本は他のポジションへのコンバートを考えるべきだろう。
遊撃手・坂本勇人について、数字面では懸念材料が出てきている。
2008年以降の坂本勇人の守備率と守備範囲を示す指標RF(Range Factor=1試合当たりの守備機会)のリーグ順位の推移。()はリーグ順位。2020年の守備成績は2020年11月7日までのもの。
2008年
守備率.976(3) RF 4.31(2)
2009年
守備率.973(4) RF 4.83(1)
2010年
守備率.970(4) RF 4.72(2)
2011年
守備率.975(4) RF 4.79(1)
2012年
守備率.979(3) RF 4.82(1)
2013年
守備率.984(2) RF 4.96(1)
2014年
守備率.981(2) RF 4.69(1)
2015年
守備率.982(1) RF 4.65(2)
2016年
守備率.975(5) RF 4.72(2)
2017年
守備率.987(1) RF 4.73(2)
2018年
守備率.982(3) RF 4.70(3)
2019年
守備率.979(3) RF 3.92(5)
2020年
守備率.991(1) RF 4.13(2)