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坂本勇人「あのときの長野さん、自分のことのように喜んでくれて…」塁上で感極まったワケ
posted2020/11/09 17:04
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kiichi Matsumoto
<名言1>
「あのときの長野さん、自分のことのように喜んでくれていたんです」
(坂本勇人/970号 2019年1月17日発売)
◇解説◇
2012年のセ・リーグ最終戦。巨人・坂本勇人は初となる打撃タイトル獲得のチャンスを迎えていた。その時点で最多安打だった長野久義との差は3本だったが、坂本は長嶋茂雄と並ぶシーズン20度目の猛打賞を記録し、173安打に並んだ。
その後、今度は3番を打つ長野に記録を伸ばすチャンスが訪れた。しかし、指揮官・原辰徳はこの日無安打だった長野へ歩み寄り言葉をかけると、代打を宣告。その瞬間に坂本のタイトル獲得が事実上、確定した。
坂本は二塁ベース上で感極まった
ベンチに下がった長野からエールを送られた坂本は二塁ベース上で感極まった。
「もし逆の立場だったら、きっと僕も素直に喜べていたと思うんで、そうやって気持ちがつながっていたことが嬉しくて……」
ちなみに原監督は次の打席で坂本にも代打を送っている。シーズン中、チームを牽引してきた2人が歴史に名を刻めるよう配慮したものだった。
19年、長野は丸佳浩の人的補償としてカープへと移籍。その年、キャプテンとして初のリーグ優勝を経験した坂本は、今季ついに2000本安打達成という偉業を成し遂げた。
2000本安打まであと「7」と迫ったとき、球団の公式SNSを通じて長野は坂本へメッセージを送っている。
「勇人、3000安打まで残り1007本になりました。もう少しかかりそうですけどケガなく頑張ってください」
8年前のように――後輩の偉業を心の底から喜んでいるだろう。