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坂本勇人、3085安打・張本勲超えへ“必要3条件”は満たすが…最大の“不安要素”とは
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki/Kyodo News
posted2020/11/09 11:04
2000本安打を達成した坂本勇人。球史に残る名ショートだが、来季32歳。張本勲超えへあと1000安打超を打ち続けられるか
20代はリーグ屈指の守備範囲だったが
一般的に守備率はベテランになるほど上がる傾向にある。捕球や送球などの守備技術がうまくなるからだが、同時に“無理目の打球”に手を出さなくなるから、ともとらえられる。対照的に守備範囲を示すRFの数値はベテランになれば下がっていく。
遊撃手のRFは4.50を超えれば一流だ。20代の坂本はリーグ屈指の守備範囲を誇っていたが、2019年には4.00を割り込んだ。今季はリーグ2位。ただし1位の中日・京田陽太の4.81とは大差がついている。
一般的な傾向を踏まえれば、坂本の“遊撃手としての守備能力”が問題視される時が来るかもしれない。
あれだけ名手だった鳥谷でも
最近でいえば、阪神の不動の遊撃手だった鳥谷敬のRFが33歳の2014年に3.96と4を割り込み、2016年には3.75まで落ちて失策数も増えて「チームの足を引っ張っている」という声が上がったのが記憶に新しい。鳥谷はその声に動かされる形で翌年三塁にコンバートされた。
坂本勇人は来季32歳になる。3000本安打を目指すのであれば、そうした声が上がる前にコンバートするほうがいいかもしれない。
偉大な選手の後釜は、そうそう簡単には見つからない。巨人は、坂本勇人がまだ遊撃手として活躍できる間に、吉川尚輝ら次の正遊撃手を見出すべきだろう。
そして坂本はレジェンドになるために、コンバートを受け入れるときがくるのではないかと思う。
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