酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
坂本勇人、3085安打・張本勲超えへ“必要3条件”は満たすが…最大の“不安要素”とは
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki/Kyodo News
posted2020/11/09 11:04
2000本安打を達成した坂本勇人。球史に残る名ショートだが、来季32歳。張本勲超えへあと1000安打超を打ち続けられるか
3つの条件に坂本を照らし合わせてみると
そんな3つのポイントに坂本を照らし合わせてみよう。
坂本勇人の通算打率は.292と3割を割っている。ここ5年間で3回3割を打っているが、2008年にレギュラーになってから13シーズンで3割をマークしたのは5回だけだ。3割打者でないことはマイナス要素だ。しかし1試合当たりの安打数は張本とほぼ同じ1.12。坂本は主軸ではなく1、2番を打つことが多かったので打数が多かったのだ。
坂本勇人が3000本安打を打つうえで有利なのは、21世紀になってNPBの試合数が増えていること。榎本喜八や張本勲が活躍した1960~70年代は1963、64年のパ・リーグこそ150試合制だったが、ほとんどのシーズンは130試合制だった。
だが、今は143試合制。当たり前の話だが、試合数が多いほうが多くの安打を打つ可能性が高くなる。
これまでと同じ安打ペースだったら……
そして坂本は「めったに休まない」。坂本は入団2年目の2008年に正遊撃手になってから今年まで13年間、誰にもポジションを明け渡していない。
この間、公式戦は1841試合あったが坂本は96.6%に当たる1779試合に出場。しかもフル出場が多かった。この点は野村克也に通じる「丈夫で長持ち」である。
今季は120試合制だったが、来シーズン以降、143試合制に戻ると想定し、坂本が毎シーズン、現在と同じ1試合当たり1.12本の安打を打つとすれば、あと893試合で3000本安打に達し、969試合で張本勲の3085安打に追いつくことになる。
坂本の年齢でいえば38~39歳のときに、張本勲の記録に肉薄することになる。