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姫野和樹はスーパーラグビーで通用するか? 解説歴10年・野澤武史「珍しいタイプ。人気者になれる」
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/10/24 11:01
スーパーラグビー挑戦を発表した姫野和樹。野澤氏はニュージーランドでも「人気が出る」と期待を寄せた
現役オールブラックスとポジション争い
2020年のスーパーラグビーは新型コロナウイルスの影響で中断したが、厳しい都市封鎖などで封じ込めに成功したニュージーランドは6月、世界に先駆けて国内5チームによる「スーパーラグビー アオテアロア」を開催した。
21年シーズンもニュージーランドの5チームによる国内大会が行われるといわれており、姫野はニュージーランド代表“オールブラックス”とその経験者、予備軍が入り乱れる競争に飛び込むことになりそうだ。
「スーパーラグビー アオテアロアは世界最高峰の大会です。あの舞台が最先端のスキル、戦術戦略の発信源になっていくことは間違いありません。また、あれほど整ったハイレベルなチームが競合している国内大会はないと思います」
田中史朗も在籍したハイランダーズって?
姫野選手が加入するハイランダーズは有名な選手こそ少ないですが、そうした競争のなかでアイデアをしっかりと持ち、独創的なラグビーで勝ってきたチームです」
ハイランダーズはニュージーランド南島ダニーデンを本拠地として、1996年のスーパー12(スーパーラグビーの前身大会)誕生と共に創設された。
長らく優勝ができずにいたが、悲願達成は2015年。現日本代表ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフのもとで初優勝を果たし、当時所属していたスクラムハーフの田中史朗も歓喜を味わった。
その初優勝にコーチ陣の1人として参画し、“独創的なラグビー”の構築に寄与していたのが現日本代表のアタックコーチであるトニー・ブラウンだ。21年は、三洋電機(現パナソニック)でもプレーした稀代の戦術家がハイランダーズのヘッドコーチを務め、姫野の海外挑戦を見守ることになった。
「21年はブラウニー(トニー・ブラウンの愛称)がハイランダーズのヘッドコーチに昇格したので、日本代表での関係もあり、コミュニケーションは取りやすいと思います」
トランジションからの判断
ただ日本代表とハイランダーズは戦場も違えば選手構成も異なる。姫野はどんなラグビーにフィットしなければならないのだろうか。
「ハイランダーズは優勝した2015年以来、スクラムやラインアウトからの決め事でドカンと当っていくチームではなく、トランジション(攻守交代)から攻めるチームです。キックを活用してディフェンスをしつつ、崩れた状態から攻めていきます。
そうしたトランジションからの判断力は重要になるでしょう。もちろん英語によるコミュニケーションも重要になるはずです。そうした能力をプラスアルファで乗せていけるかが鍵になるかもしれません」