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鍵山優真にではなく「自分に勝つ」 伸びしろ満載の佐藤駿、計画的練習と無良崇人からの言葉
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2020/10/25 17:01
21日、練習を公開した佐藤。次戦には11月上旬の東日本選手権が予定されている
見ていた相手は、鍵山優真だった
緊張感に包まれた。そしてこんな言葉も口にした。
「練習から見ていて調子がよいから、僕も頑張ろうと思ったけど、その気持ちがちょっと空回りしたかなと思います」
見ていた相手は、鍵山優真だった。ずっと切磋琢磨してきた同期であり、同じタイミングでシニアに上がったライバルの存在を意識したことも気負いを生んだ。
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今シーズンのプログラムはショート、フリーともにブノワ・リショーに依頼している。関東選手権の演技の映像を送ると、「けっこう……すごい言われました」と苦笑する。
内容には触れなかったが、厳しい叱責があったのだろう。
悔しさを感じた試合の後、思うことがあった。
「優真に勝とう、ではなく、まず自分に勝たないと駄目だと思いました。ノーミスで、自分が納得できる演技をすることが大事だと思います」
試合で気づいた課題だった。
「計画を立てて練習する」ようになった
今シーズンは練習でも変化があった。「計画を立てて練習する」ようになったことだ。
「(以前は)自分の気が向いたらジャンプやったりステップやったり。でも、『こうしよう』と考えてやるようになりました。いきなりジャンプをやらず、体が暖まってからなので、(ジャンプも)よくなりました」
通常なら、練習のメニューがあり、流れがあって、それに即して取り組む。日々の計画は長期的な取り組みにもつながっている。
今まではそうではなかったと語る。
練習ではもう1つ変化があった。無良崇人のアドバイスを受けるようになったことだ。
「1、2カ月くらい前からです」
アイスショーの練習のため佐藤の拠点とする埼玉アイスアリーナを訪れる無良と、「自然に」言葉を交わすようになったという。