試合になると一転、果敢な姿を見せる

「『4回転ジャンプは手と足を同時にすると跳びやすい』とか的確なアドバイスをいただいて、うまくいくようになりました。今までは感覚で跳んでいたので、意識するだけでも変われたと思います。一緒に滑って動きを見せてくれながらなので分かりやすいです」

　それら変化の成果が出るのはまだこれからかもしれない。ただ、整理された練習ではなくてもここまでの成長を遂げることができたことを考えれば、計画を立てるようになったことは「伸びしろ」と捉えることができる。

　リンクの外ではもの静かな、素朴なたたずまいの佐藤は、いざ試合になると一転、果敢な姿を見せる。

　昨年の全日本選手権ショートでは、最後のジャンプを、もともとは予定していなかった4回転トウループに切り替えて成功させた。

　先の関東選手権のフリーでも、うまくはいかなかったが、冒頭の4回転ルッツが失敗に終わると、4つ目のジャンプで再び4回転ルッツに挑んだ。

　そんな姿勢も魅力の一端だ。

　ライバルにも恵まれている。そしてもともと仙台市に生まれ育った佐藤には、憧れであり手本とする先輩、羽生結弦の存在もある。

　武器であるジャンプを中心に、シニアでのキャリアは始まったばかりだ。

　その行き先は、広く開かれている。

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