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巨人・原辰徳監督「手遅れは最大の愚策だと思っている」阿部慎之助を巡る批判を恐れぬ決断の日
posted2020/10/29 11:02
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
KYODO
雑誌「Sports Graphic Number」と「Number Web」に掲載された記事のなかから、トップアスリートや指導者たちの「名言」を紹介します。今回は、セ・リーグ連覇が目前に迫っている巨人・原辰徳監督の言葉です。
<名言1>
「手遅れは最大の愚策だと思っている」
(原辰徳/887号 2015年10月8日発売)
◇解説◇
「99%キャッチャーに戻すことはない」
2015年シーズン開幕前、原は腰の状態に不安を抱える阿部慎之助の一塁コンバートを明言した。
しかし4月3日の阪神戦であっさりと撤回。「チームというのは生き物。すべてが思っている通りに動くわけではない」と、あくまでも勝つための決断だったとキャッチャー復帰の理由を語っている。
当時この采配を「迷走」を揶揄するメディアもあったが、批判を恐れない決断ができることが原の凄みでもある。
「必要と思うことは、ひるまずにやり切る」
今季もそれを象徴するシーンがあった。
8月6日の阪神戦、大量リードを許した8回のマウンドに原は野手・増田大輝を送った。
中川皓太などブルペンには投手が控えていたが、今季の過密日程を踏まえれば、勝ちゲームに登板する投手の負担は少しでも減らしたい。
前の回に炎上した堀岡隼人に続投させることもできたが、「あそこで(満塁弾を浴びた)堀岡を投げさせる(続投させる)ことの方がはるかに失礼なこと」と、異例の投手起用となった。
この大胆采配にはさまざまな論争が繰り広げられたが、原にとっては全てが想定内。増田を含めた何人かの野手に投手起用の可能性を伝えて準備させていたからこそ、躊躇なく決断することができた。
「必要と思うことは、ひるまずにやり切るのが監督の責任なんです」
最大のミッションは勝つこと、そして優勝すること。着々とマジックは「0」に近づいている。