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周東佑京、和田康士朗を超える? “盗塁成功率100%男”オリックス佐野皓大の「再挑戦」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/10/16 06:00
両打ちに再挑戦する佐野。本人が意識する出塁率は現時点で昨年より1割近く上回っている
「両打ち」への再挑戦
もともと右打ちだった佐野は、野手転向後、俊足を生かすためにスイッチヒッターに挑戦していたが、昨年のオフに両打ちをやめ、今年は右打ちに専念していた。しかし9月、再び両打ちに挑戦することを決めた。
「中嶋(聡)監督代行が一軍に来てからいろいろと話をした中で、レギュラーを取るには、やっぱりスイッチのほうが近いのかなと考えて、やろうと思いました。右ピッチャーに対して、右打席でなかなかいい対応ができていなかったので。それに昨年までスイッチをしていた時に、右打席が良くなる感覚もあったので」
左打ちを1から作り上げていく中で、右打ちに無意識のうちについてしまっていたムダな動きも削ぎ落とされていく効果を感じたという。
佐野はいったん登録抹消となり二軍の試合で打席を重ねたあと、9月30日に再び一軍登録された。その後は相手投手の左右に関わらず、ほぼ毎試合スタメンで起用されている。
中嶋監督代行の「しっかり振っていけ」
左打席での打率はまだ高くないが、必死に食らいついて粘り、投手に10球近く投げさせることも珍しくない。
「去年は左打席の時に、ショートに打っていこうとか、当てていけばいいという意識だったんですけど、そのせいでバットが振れなくなって、逆に当たらなかった。今は監督代行が『しっかり振っていけ』と言ってくれるので、思いきりいけています。それがいい方向に行っているのかなと思います」
佐野がもっとも重視する出塁率は.324で、昨年を1割近く上回っている。
10月11日の日本ハム戦では、1回表に1死から2番の佐野が粘って四球で出塁すると、警戒されながらも盗塁を成功させ二塁へ。3番・安達了一の中前安打で先制のホームを踏んだ。シングルヒット1本で1点を獲得。佐野が出塁する意味の大きさを改めて示した。