“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
“外れ外れ”の山田哲人、改めて評価したい澤村拓一&大野雄大の一本釣り…10年前のドラフト覚えてる?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2020/10/16 11:01
履正社高校で会見を行う山田哲人。ヤクルトは斎藤佑樹、塩見貴洋と即戦力投手を立て続けに外し、将来有望の打者に切り替えた
広島は早稲田トリオの福井を獲得
◇2010年広島指名一覧◇
× 大石達也(早稲田大・投手)
1位 福井優也(早稲田大・投手)
2位 中村恭平(富士大・投手)
3位 岩見優輝(大阪ガス・投手)
4位 金丸将也(東海理化・投手)
5位 磯村嘉孝(中京大中京高・捕手)
6位 中崎翔太(日南学園高・投手)
7位 弦本悠希(四国九州IL徳島・投手)
育成1位 山野恭介(明豊高・投手)
育成2位 池ノ内亮介(中京学院大・投手)
大石達也を抽選で外した広島は、同じ早稲田大の投手・福井を指名した。チームメイトでもスター選手だった斎藤佑樹や大石と異なり、済美高校3年時に巨人のドラフト4位指名を拒否して、1年浪人して早大入りした福井には苦労人の印象がつきまとう。1年目の11年にはすべて先発で27試合に登板、8勝10敗、防御率4.12。ルーキーイヤーから期待に応えたと言っていい。15年にキャリアハイとなる9勝6敗を挙げ、19年に楽天に移籍している。
カープ3連覇に貢献したクローザー
初年度から活躍した福井の一方で、2位中村はプロ9年目の19年に43試合にリリーフ登板した遅咲きである。球は速いがコントロールに難があり、三振も思うように取れなかったのが、この年はイニング以上の三振を取り、与四死球率4以下と安定感も増した。
中村以上に戦力になったのが6位中崎だ。兄の雄太は08年の西武1位。それにくらべるとほぼ無名で、名鑑などの紹介欄ではまず雄太のことから始まるのが常だった。しかし、15年に指揮官が緒方孝市監督に替わると前年の32試合から69試合に登板数が激増、役割もシーズン途中に中継ぎから抑えに変わった。中崎にとっての分岐点であると同時に、翌16年からリーグ3連覇する広島にとっても大きなターニングポイントだった。