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「サラブレッドの堅実さ」鍵山優真と「無茶なほどの爆発力」佐藤駿、2人だけの公式戦詳報
posted2020/10/08 17:02
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Yukihito Taguchi
全日本選手権にむけた第1次予選となる関東選手権が10月2~4日、茨城県で開かれた。
例年であればトップ選手は国際大会にエントリーし、出場が免除になる地方大会。しかし今季は早くも気鋭同士の対決が実現した。それは、今季からシニアにあがる鍵山優真と佐藤駿の2人だ。
関東選手権を皮切りに、このあと東日本選手権、NHK杯、全日本選手権と、今季前半だけでも“4番勝負”が実現することになる。その第1番ともいえる関東選手権は、2人の個性が顕著に表れる勝負となった。
関東選手権の男子シニアは、神奈川の鍵山と、埼玉の佐藤の2人のみ。10月3日、ショートの6分間練習が始まると、静かに2人が氷上へ現れた。
地方予選ということもあり、練習中は無音
全日本選手権や国際大会ほどの規模になれば6分間の練習中でもBGMが流れるが、地方予選ということもあり、練習中は無音。無観客試合で、かつ関係者や報道陣も人数制限されている静寂のなか、2人がジャンプを降りる音だけが、ドーン、ドーンと交互に響きわたった。
ショートを制したのは、先に登場した鍵山だった。
「シニアデビュー戦が駿と1対1というのは、ずっと楽しみにしていました。お互い4回転を無茶苦茶入れているので、練習のときから4回転合戦になって楽しかったです」
緊張というよりは、楽しさが勝っていた。すでに9月のアイスショー『ドリーム・オン・アイス2020』では、2本の4回転とトリプルアクセルを完ぺきに決めており、試合であればどんな高得点が出るのか、期待されていた。
鍵山は勢いよく滑り始めると、冒頭で「4回転サルコウ+3回転トウループ」を成功。無駄な力のないお手本のようなサルコウに、ジャッジ5人のうち4人が「+4」、1人が「+5」という高評価をつけた。続く4回転トウループやトリプルアクセルもしっかり決めた。