完成度の高さを示した鍵山

　高得点を導いた要因は、佐藤とは真逆の「堅実さ」にある。『ドリーム・オン・アイス』の時は4回転サルコウの2本目を、得点が1.1倍になる演技後半に入れてミスしたが、それを前半へと移した。

「練習では4回転を後半に入れていたんですが、後半の4回転サルコウは疲れるし焦りも出るので跳べていませんでした。曲自体も前半のほうが落ち着いていますし、4回転サルコウはまだ今季入れ始めたばかりでなるべく安定させたいので、前半に入れました」

　1戦目にして、3本の4回転を成功させるほぼパーフェクトの演技だが、すぐに構成を変える予定はないという。

「これ以上4回転を増やしてもたぶんボロボロになると思うので、今のジャンプ構成で、加点をもらえるように努力してもっと点数を伸ばしていけたらと思います。欲を言えば、シーズン後半ごろには、演技後半に4回転を入れたいと思います」

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　2人の勝負は始まったばかり。関東選手権では、点数としては鍵山の圧勝で、完成度の高さを示した。

　しかし演技中に4回転ルッツを2本入れようと決めた佐藤の意地には、計り知れないパワーがある。

　五輪選手の息子としてサラブレッドの教育を受けてきた鍵山と、猛烈な勢いでジャンプに挑む佐藤。2つの才能は、懸命に同時代を生き抜こうとしている。