丸がお立ち台で年下の4番をイジる「岡本さん」話芸はすっかり定着したし、先日の広島戦でサヨナラ打を放った25歳吉川尚輝のもとに、祝福の水をぶっかけようとペットボトル片手に真っ先に駆け寄ったのは背番号8だった。2年連続MVPという圧倒的な実績を引っさげて同リーグのライバル球団へ移籍。そんな微妙に複雑な立場にもかかわらず、丸は違和感なくナチュラルにチームに馴染んでいる。これは本当に凄いことだと思う。だってアラサーの転職で、昔の実績をひけらかさずきっちり仕事をして、新しい同僚たちから認められ、新天地の若手とも積極的にコミュニケーションをとるって本当に難しいことだから。

「成功か失敗か」すら話題にならない

　主軸の坂本と岡本を助け、時に自ら中心となり試合を決める。いわば主役にも脇役にもなれる選手。よくタブロイド紙では「巨人のあのFAは成功か失敗か」的な記事が出るが、丸の場合はその手の疑問は見たことがない。左の強打者、好守の外野手、心身のタフさ、坂本と1歳差の年齢、東京ドームグルメで味わえる丸のホームランミートピザのクオリティの高さと、すべてがピンポイントでドハマりの補強すぎて議論の余地すらないからだ。

　すでに原巨人の優勝マジックは「22」。思えば、誰よりも勝ち方を知っている選手でもある。16年から18年まで広島で三連覇を経験、19年は巨人を5年ぶりのVに導き、20年も連覇はすでに確実視されている。今季優勝すれば、なんと丸個人は5年連続Vの“ひとり五連覇”ということになる。

　このままいけばペナント終盤に、偉業達成や打撃タイトル争いで話題となり目立つのは坂本や岡本だろう。

　それでも、毎日図太くマイペースで試合に出続け、彼らとともに第三次原政権を根っこで支えているのは、センターを守る偉大な3人目の男。

　“令和の優勝請負人”丸佳浩なのである。

　See you baseball freak……

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