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「強いコントレイルをお見せできた」神戸新聞杯完勝、史上3頭目の無敗三冠馬誕生が濃厚に
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2020/09/28 12:35
コントレイルは神戸新聞杯で完勝。三冠馬誕生がかかる菊花賞へ期待が高まる(写真:第87回日本ダービー)
最後の直線、コントレイルが瞬発力で応えた
4コーナーを回り、最後の直線に入ってもまだコントレイルは馬群のなかにいた。それでも福永が落ちついていられたのは、コントレイルの力を信じていたからだった。
「手応えもありましたし、瞬時に反応できる馬ですから、慌てず直線に向くことができたと思います」
福永の信頼に、コントレイルは持ち前の瞬発力で応えた。
ラスト400mを切ったところで、前のグランデマーレとディープボンドとの間に僅かな隙間ができた。外のディープボンドは伸びていたが、内のグランデマーレが失速し、後退しはじめていたので、その隙間はすぐには閉じなかった。
コントレイルは持ったままで2頭の間を楽に割り、先頭に躍り出た。
強いコントレイルをお見せすることができた
そこからは独壇場だった。他馬は激しく鞭が入っているのに、福永は手綱をしごいて促しているだけだ。それでも、ラスト200mを切るとさらに末脚を伸ばし、最後は流すようにして2着を2馬身突き放した。
「休み明けとはいえ、落とすわけにはいかない状況のなかで余力を持って勝つことができたのが何よりでした。強いコントレイルをこの秋もお見せすることができてよかったです」
そう話した福永は、一瞬でも前が開けば突き抜ける自信があったので、直線に向くまで前が壁になっていても落ちついていられたのだろう。繰り返しになるが、福永にその自信を与えたのはコントレイルの能力と、そのコントレイルに対する彼の強い信頼であった。