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武豊、欧州の名伯楽から招かれるスゴさ 唯一無二の偉大なジョッキーが挑む9度目の凱旋門賞
posted2020/10/02 20:01
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
今週末、日本では秋のGIシーズンが開幕する。中山競馬場で行われるスプリンターズS(GI)がその幕開けのレースだが、その数時間後、日本時間同日の夜、フランスでは凱旋門賞(GI、パリロンシャン競馬場、芝2400メートル)が行われる。
今年の凱旋門賞には日本馬ながら長くイギリスで調整を続けているディアドラ(牝6歳、栗東・橋田満厩舎)が出走。史上初の3勝目を目指すエネイブル(牝6歳、イギリス、J・ゴスデン厩舎)の出走もあり、JRAでも勝ち馬投票券が発売される事から注目されているが、何と言っても話題になっているのは武豊騎手の参戦だろう。
武豊騎手のような騎手はどこにもいない
1994年、ホワイトマズルで初めて凱旋門賞に騎乗した日本のナンバー1ジョッキーにとって、今年の凱旋門賞騎乗は実に9回目。日本競馬史上最強といわれたディープインパクト(2006年、3位入線、後に失格)での参戦をはじめ、メイショウサムソン(2008年、10着)、ヴィクトワールピサ(2010年、7着)といった日本のクラシックホースで挑みながら敗れた年もあった。
更に“さすが日本のトップジョッキー”と思わせた年もある。
たとえば2001年。この年、凱旋門賞で手綱を取ったのはサガシティーという馬。それほど人気はなかったものの、この馬の兄サガミックスは凱旋門賞の勝ち馬なので、血統的な背景を考慮すれば決してノーチャンスではなかった。結果、好騎乗で3着に善戦するのだが、何と言ってもうならされたのはこの馬がアンドレ・ファーブル調教師の管理馬という点。同調教師はフランスで1987年から2006年までの20年連続を含む30回以上のリーディングトレーナーとなった、かの国を代表する名調教師。昨年、ヴァルトガイストでエネイブルを破り凱旋門賞を制したが、これが実に8勝目となる凱旋門賞制覇だった。
このような伯楽に請われて良血馬に騎乗し、好結果を残せるような日本人ジョッキーが他にいるだろうか。あれから20年近く経った現在でも、そんな存在は武豊騎手ただ1人といって過言ではないだろう。