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「強いコントレイルをお見せできた」神戸新聞杯完勝、史上3頭目の無敗三冠馬誕生が濃厚に
posted2020/09/28 12:35
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
やはりここでは力が違った。
今春の皐月賞、ダービーを無敗で制したコントレイル(牡3歳、父ディープインパクト、栗東・矢作芳人厩舎)が、無観客で行われた秋初戦の神戸新聞杯(9月27日、中京芝2200m、3歳GII)を余裕たっぷりの走りで圧勝。1984年シンボリルドルフ、2005年ディープインパクトに次ぐ史上3頭目の無敗の三冠獲得に向け、好スタートを切った。
休養前の日本ダービーまで5戦5勝。そのすべてが完勝というコントレイルは、単勝1.1倍の圧倒的1番人気に支持された。
それでも、手綱を取る福永祐一は楽観視していなかった。
「戦前から、ちょっと難しいレースになると思っていました。内枠が当たったということで、いかに上手く進路を見つけて、ストレスなく走らせるかが今日の課題でした」
出走馬が18頭いたなか、コントレイルがひいたのは1枠2番。終始包まれて行き場がなくなり、力を出せずに終わる展開だけは避けなければならない。
福永とコントレイルはどのように馬群をさばくのか。
第68回神戸新聞杯のゲートが開いた。
「慌てないということだけ肝に銘じて」
コントレイルはポンと速いスタートを切った。そのままゲートを出たなりで進み、周囲の馬たちを先に行かせて、中団馬群のなかで折り合いをつけた。
1、2コーナーでは、先頭から6馬身ほど離れた7、8番手。周囲を他馬に囲まれ、内埒から馬1頭分ほど間隔を置いたところを進んでいる。
向正面に入るともう1頭分ほど外に出したが、周囲を他馬に塞がれたままで、それ以上外に出すことはできなかった。福永はこう振り返る。
「本当はもっと早く進路を確保したいところではあったのですが、内枠ということもあって、流れのなかで進路を探しながらのレースになりました。慌てないということだけは肝に銘じて乗っていました」