フランス・フットボール通信BACK NUMBER
《小柄な選手世界歴代ベスト10》1位はマラドーナ、2位はメッシ、では3位は…?
posted2020/09/28 17:00
text by
パトリック・ウルビニPatrick Urbini
photograph by
L’Équipe
フランス・フットボール誌7月28日発売号の特集は「頑張れプティ(小さき者たち)!」である。小柄であるのは決してハンディキャップではない。むしろ小柄であるがゆえに、その特徴を存分に生かして名を遺した選手は世界に数多いる。そんな選手たちの系譜に、パトリック・ウルビニ記者が光を当てている。
もちろん日本とヨーロッパ――たとえヨーロッパの中で体躯が小柄な部類に入るフランスとでも、《小さい》が意味するところに幾分のズレがある。日本ならばボビー・チャールトンやロベルト・バッジョを決して小柄とは言わないだろう。またFF誌が選んだ小柄な選手ベスト10も、フランスはともかく世界に関しては異論も多いだろう。
だが、個別の意見の違いはさておき、《小柄》であることを基軸にしたときに見えてくるものがある。それに気づく機会を得るのは、とりわけ《小柄》ではない多くの人々にとって貴重なことなのだろうと思う。
(田村修一)
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バロンドール受賞者の1/4が“小柄な選手”
【FF誌による小柄な選手世界歴代ベスト10(170㎝以下、1960年代以降)】
【小柄な選手フランスベスト10(世界に同じ)】
サッカーにおいて、身長はさしたる問題ではない。脚の長さと才能(動きの鋭さや器用さ、知性、テクニック、先を読む能力など)が反比例するのはよくあることである。身長が170cmに満たなくとも、決してそれはハンディキャップではない。
歴代48人のバロンドール受賞者を見ても、レイモン・コパ、オマール・シボリ、アラン・シモンセン、リオネル・メッシの4人は170cm以下であり、あと3~4cm枠を広げればスタンレー・マシューズやボビー・チャールトン、ケビン・キーガン、ローター・マテウス、ロベルト・バッジョ、マイケル・オーウェン、ルカ・モドリッチも《小さな巨人》に分類される。全受賞者の1/4が小柄な選手の範疇に入るのである。
さらに例を挙げるならば、史上最強の誉れが高い2つのチーム、1970年のブラジル代表(ペレ、ジャイルジーニョ、ジェルソン、トスタン、リベリーノ、クロドアウド)とペップ・グアルディオラのFCバルセロナ(メッシ、シャビ、イニエスタ、ダニエル・アウベス、マスケラーノ、ペドロ)も過半数が174cm以下である。彼らの存在が、世界にまばゆいばかりの彩りを添えている。