ベテラン3人の落ち着いたプレーは、川崎Fの鼻息荒い攻撃をいなすには、非常に効果的だった。スタメンが中堅、若手選手だけだと正面からぶつかるが、それで必ずしも勝てるわけではない。チームの勝利を考えた場合、相手とがっぷり四つに組む必要はなく、むしろガツガツくる相手をいなして、かわすことで相手の勢いを削ぎ、自分たちのリズムに徹して戦うことで勝てる確率を高める。それが下平監督の狙いであり、それにはベテランのマイウェイ力が必要だった。彼らは相手のペースに惑わされることなく、チームの勝利に立脚して、考えてプレーしてくれるからだ。

3人のプレーで感じた“まだまだやれる”

　下平監督は後半、ベテランを下げ、勢いとスピードのある若手を送り出し、攻撃のテンポを上げて同じく売り出し中の若手を繰り出した川崎Fを押し込んだ。川崎Fはかなり苦しんだようで、旗手怜央が「難しい試合になった。最後の最後に体を張って守って勝てたので良かった」と語るほど追い込まれていた。横浜FCは3－2で敗れ、勝利には結びつかなかったが、2ウェイの戦い方は今後の可能性を感じさせるものだった。

　そして、この後半の勢いと粘りを生んだのは全員の勝利への欲求と三浦、中村、松井らベテラン勢の踏ん張りがあったからだ。この試合で彼らが果たした役割は非常に大きく、老練なプレーは、若手の溌剌としたプレーとは異なり、味があるし、見ていて楽しい。

　キングの記録と3人のプレーは、各チームにいるベテラン選手を大いに刺激したはずだ。

“まだまだやれる”

　リーグ戦は後半戦に突入したが、これからベテランの活躍がかなり見られそうだ。