話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
53歳カズ、42歳中村俊輔、39歳松井大輔 川崎Fをいなしてかわす“マイウェイ力”
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/09/25 17:00
9月23日のvs.マリノス戦にスタメン出場した三浦知良。中山雅史のJ1最年長出場記録を大幅に更新した。
松井は、足元の技術が相変わらず高い。ボールが入ると、ほぼ取られない。この試合はボール保持が目的の1つだったが、その役には適任で、家長昭博とは異なる柔軟なテクニックでボールをキープし、あるいは左右にさばき、ここぞという時はぺナルティボックス内に侵入していった。前半、唯一のシュートは松井のものだった。
三浦は、前線に高さとスピードがある瀬沼優司がいるので、少し低いところに位置し、ビルドアップする最終ラインからボールをうまく引き出していた。川崎Fの圧力が強い中、中盤の作りに参加した後、ペナルティボックス内に入っていく。そのタイミングの取り方は長年、ストライカーとしてプレーしてきたセンサーが働くのだろう。絶妙だった。
前半39分、松尾が切り込んできた際、三浦は呼吸を合わせるようにボックス内に侵入した。タイミングが合っていたので、松尾のボールの精度が高ければワンショットを決められたシーンだった。試合後、三浦は、「ぺナのところでは物足りなさを感じた」と語ったが、ボールの引き出し役がいない中、中盤に降りてきて流れを作ったのは三浦だった。
苦しい時こそベテラン選手が必要になってくる
この3人の選手に見られるようにベテラン選手は、チームのやり方や現状を理解しながら独自のプレーで、チームの攻守に変化をつけてくれる。この試合の中村憲剛は、後方から味方を使うこと、とりわけゴールを狙う若手の手綱さばきのうまさを見せてくれた。
他チームでも稲本潤一、大谷秀和、大久保嘉人、佐藤寿人らベテランが頑張っている。勢いで勝っている時はいいが、苦しい時やチーム状態が悪くなるとベテランの力は必要になるし、相手チームにとってはやっかいになる。ガンバ大阪の遠藤保仁も早く前に行き過ぎる攻撃をあえてスローダウンさせ、変化や違いを生みながら攻撃を組み立てる。浦和レッズの阿部勇樹は球際の厳しさ、危険察知能力が抜群で出場すると浦和の守備をピリッとさせてくれる。
鬼木監督も、三浦・中村・松井3人のスタメンについて、「ああいう選手たちがいると、それだけでプレッシャーになった」と言う。