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ヤクルト村上宗隆の“意外な進化”はMVP級? 週刊セパ好成績&珍記録まとめ
posted2020/09/23 11:50
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
9月には連休があったこともあり、試合スケジュールがだんだんタイトになってきた。ベテランには厳しい日程だ。
【今週の“ぴかイチ選手” ヤクルト 村上宗隆】
読者各位はヤクルトの村上宗隆は進歩したと思うだろうか、それとも足踏みをしていると思うだろうか?
昨シーズンは高卒2年目で本塁打はリーグ3位の36本塁打、打点も3位の96打点を挙げた。昨年9月4日には32号を打ち、清原和博の31本を更新する「10代での本塁打記録」を上回っている。
ただその一方で打率は.231で最下位、三振も184で最多だった。とはいえ、型破りの若手スラッガーが登場したと思ったものだ。
本塁打数など豪快さは下がったものの
それに比べて今季(※村上の数字は22日終了時点)は打率は2位の.332、打点は3位タイの57打点だが、本塁打は6位タイの16本。豪快さを求めるファンが「物足りない」と思っても不思議ではない。
しかし、打者としてのトータルの評価では、村上は長足の進化を遂げたといえる。
セイバーメトリクスにはRC(Run Create)という指標がある。
安打、本塁打、長打、四死球、盗塁、盗塁死、犠打、犠飛、三振、併殺打などの数字を取り入れたものだ。打点に近い数字になる。シーズンを通じた指標で100を超えれば優秀だ。
2019年、セ・リーグのRCランキングは以下の通りだった。
1 鈴木誠也(広)126.93
打率.335/167安打28本
87点103四球81三振
2 坂本勇人(巨)121.48
打率.312/173安打40本
94点77四球123三振
3 山田哲人(ヤ)121.11
打率.271/141安打35本
98点110四球121三振
4 丸佳浩(巨)102.49
打率.292/156安打27本
89点86四球125三振
5 ソト(De)95.94
打率.269/139安打43本
108点59四球98三振
6 筒香嘉智(De)94.22
打率.272/126安打29本
79点88四球141三振
7 ビシエド(中)92.28
打率.315/168安打18本
93点41四球88三振
8 岡本和真(巨)90.64
打率.265/147安打31本
94点62四球132三振
9 大島洋平(中)87.09
打率.312/174安打3本
45点50四球78三振
10 青木宣親(ヤ)82.93
打率.297/145安打16本
58点61四球72三振
11 村上宗隆(ヤ)82.08
打率.231/118安打36本
96点74四球184三振
村上のRC82.08は19歳でのシーズンでは抜群の数字だが、全体では11位。「この年齢では」と但し書きが付く評価だ。マイナス要素は安打の少なさ、そして三振の多さだ。74四球は素晴らしい数字だが、NPB歴代4位の184もの三振がこれを打ち消していた。