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内村航平や村上茉愛ら復活を期す体操“4人のエース” 試金石の全日本シニア選手権へ
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2020/09/19 17:00
去年の全日本シニア選手権は個人総合で5位に終わった内村。今年は鉄棒専念表明後、初の実戦となる。
「一番良かった時の勢い、迫力を取り戻したい」
内村の場合は日本がもう1枠を獲得したとき、その枠を目指して来春の全日本個人総合選手権、NHK杯、全日本種目別選手権を対象とした選考で選ばれる必要がある。
ライバルとなるのは当然、鉄棒のみならず、他種目の選手も含まれる。
順調に調子を取り戻せれば国際大会では十分、メダル圏内、いや、世界一を目指す力はある。
そこにたどり着く前に、より熾烈な競争が予想されるレースへ向けて、1年強ぶりの実戦は、貴重な一歩となる。
再起という点では、白井健三のパフォーマンスも注目されるところだ。
おおづかみに見れば順調に階段を上がってきた白井だったが、昨年は怪我の影響などで、本来の演技はできず、世界選手権にも出場できなかった。
「一番良かった時の勢い、迫力を取り戻したい」
そんな決意とともにスタートを切った2020年は、新型コロナウィルスにより、大きくスケジュールが変わった。
その中でどう過ごして進んできたか。大会でのパフォーマンスが示すこととなるだろう。
リオ五輪の団体で4位の悔しさ。
女子の村上茉愛もまた、再起をかけて出場する。
昨年は腰痛に悩まされ、世界選手権に出られないなど悔しい思いをした。
今年7月、国際オリンピック委員会の公式インスタグラムに出演。東京五輪延期に「悲しい思いはもちろんありました」としながら、「1年延びたことで準備することもできます」と前向きに捉える姿があった。
何よりも、リオデジャネイロ五輪の団体で4位とメダルまであと一歩の成績だった悔しさは忘れていない。
「(4位だったときに)東京オリンピックを目指したいといちばん思いました」
消えることのない思いとともに、雪辱を果たすべく大舞台を見据えている。その目線に迷いはない。