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井上尚弥への刺客、ジェイソン・マロニー単独インタビュー 52年前の“番狂わせ”再現を狙う 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byGetty Images

posted2020/09/11 11:00

井上尚弥への刺客、ジェイソン・マロニー単独インタビュー 52年前の“番狂わせ”再現を狙う<Number Web> photograph by Getty Images

井上のラスベガスデビュー戦の相手に選ばれたジェイソン・マロニー。モンスター狩りへ準備は着々のようだ。

マロニーが分析する井上の弱点

――井上の戦力を分析してほしいのですが、彼の能力の中で特筆すべき部分とはどういったところでしょう?

JM:本当にとても良い選手だと思います。ビッグパンチャーで、どんな相手もKOできるだけのとてつもない爆発力を持っています。何より、私は彼が戦いに臨む姿勢が好きなんです。その姿勢のおかげで、彼の試合はいつでもエキサイティングですからね。

 ただ、言えることは、彼に対峙しても、私が恐れることはないということです。彼が2団体のタイトルを持ち、バンタム級でNo.1と評価されているのには正当な理由がありますが、2本の腕、2本の足を持った同じ人間であることには変わりはありません。井上のことはリスペクトしていますが、私もこのスポーツに自分の人生を捧げ、夢を叶えるために犠牲を払ってきました。井上を倒すことができたら達成感はすごいでしょうし、オーストラリア・ボクシング史上でも最高の勝利に値するかもしれません。

――井上はオールラウンドな能力にも定評がありますが、弱点もあると思いますか?

JM:どんな王者にも弱点はありますし、無敵の選手は存在しません。井上に関しても、弱点を見つけ出し、その長所を発揮させないことが鍵になるでしょう。

――井上はディフェンスも良い選手ですが、昨年11月のノニト・ドネア(フィリピン)戦では被弾するシーンもありましたね。

JM:その通り。ドネア戦での井上は強烈なパンチを浴び、1、2度ダメージを受けたシーンがありました。井上のようにアグレッシブに戦う場合、ディフェンス面でオープンになる瞬間が出てくるもの。こちらは可能な限り賢明に戦って、井上の隙に付け込むことができるかが大事になるはずです。

「私はまだ強くなっている」

――あなたは6月25日、ラスベガスでのレオナルド・バエズ(メキシコ)戦ではイン&アウトの両方で上手に戦い、7回終了TKO勝ちを飾って評価を上げました。ここで井上戦の詳細なファイトプランは明かせないとは思いますが、可能な限りで良いので、どのように戦うつもりかを教えてもらえますか?

JM:私はとても多彩なボクサーであり、インサイド、アウトサイドのどちらでも戦うことができます。もちろん戦略は試合の流れ次第だし、何がうまくいっているか、うまくいっていないかを見極めながらアジャストして進めることになると思います。おっしゃる通り、ここで詳しくは話せませんが、イン&アウトの両方で快適に戦える術を見つけていくことになるでしょう。前の試合では良いファイトができましたが、私はまだ強くなっていて、その成長ぶりでも多くの人を驚かせられるはずです。

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