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<私が裁いた名勝負>
岩佐を抱えながら心にしみ入る言葉を聞いた。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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posted2020/09/15 17:00

<私が裁いた名勝負>岩佐を抱えながら心にしみ入る言葉を聞いた。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

中村勝彦さん。

語り継がれる名勝負をその演者のひとり、審判が振り返る。彼しか知らない新たな景色が見えてくる。

2011年 ボクシング 日本バンタム級タイトルマッチ
山中慎介 対 岩佐亮佑
3月5日/後楽園ホール/10回TKO

後の世界王者同士が激突した日本タイトルマッチ。開始から飛ばした挑戦者・岩佐(左)が序盤を制したが、ジャブで応戦していた王者は4回から攻勢に。山中が強打し、岩佐がカウンターで抗う展開に観客は熱狂。10回、山中がストレートを打ち抜くとタオルと同時に主審が止めた。

   ◇

 銀行員出身の私がプロボクシングのレフェリーとしてデビューしたのは40歳の'05年。周囲と比べても遅いほうです。調査会社で働くようになって時間の融通も利くので、ボクシング専門誌の公募を見て「大好きなボクシングに関わってみるのも面白いかな」と思ったのがきっかけでした。

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