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井上尚弥への刺客、ジェイソン・マロニー単独インタビュー 52年前の“番狂わせ”再現を狙う
posted2020/09/11 11:00
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
“モンスター”のラスベガスデビューの相手役は、オーストラリアの刺客――。
9月9日、WBA、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(大橋)がオンライン会見を開き、10月31日(日本時間11月1日)、ラスベガスのMGMグランドガーデンでジェイソン・マロニー(オーストラリア)の挑戦を受けることが発表された。
当初、井上は4月25日にWBO同級王者ジョンリール・カシメロ (フィリピン)との3団体統一戦に臨むことが決まっていたが、新型コロナウイルスによるパンデミックでプランは変更。カシメロに代わって対戦者に抜擢された29歳のマロニーは、これまで21勝(18KO)1敗と優れた成績を誇り、各団体の世界ランキングでも上位につける好選手である。
昨夏、井上と同じくトップランク社と契約し、6月にラスベガスで1戦をこなしたマロニーは現在、オーストラリアのキングスクリフでトレーニングを続けている。世界的な注目選手になった井上にどんな印象を持ち、来月のビッグファイトにどんな決意で備えているのか。今回、電話インタビューでゆっくりとその想いを語ってもらった。
挑戦は「井上こそがNo.1だからです」
――井上選手への挑戦が決定した、今の率直な気持ちを聞かせてください。
ジェイソン・マロニー(以下、JM):ついに正式発表されたことを嬉しく思っています。とてもエキサイトしているし、すでにハードなトレーニングを開始しています。私にとって重要な機会。すべてを出し尽くすつもりです。
――聖地ラスベガスでの世界タイトル戦が決まり、周囲の反応はいかがですか?
JM:もちろん多くの人たちが私と同様にエキサイトしてくれています。その一方で、ネット上などではたくさんの人たちが、「マロニーには勝機はない」とかネガティブなことを言っているのも事実です。それもまたモチベーションになるので、そういうたぐいのコメントを読むのは実は大好きなんですよ。
私は勝つことと、周囲のネガティブな人たちが間違っていると証明するのが大好き。ほとんどの人が私は勝てないと思っているという状況は気に入っています。私と、私のチームの人間、トレーナーたちが勝てると信じていれば、それだけで十分。世界中にショックを与え、今回もまた私を疑った人たちが間違っていると証明してみせますよ。
――あなたはWBOランキングでは1位、WBCでも上位にランクされていて、より良い条件で井上選手以外のチャンピオンへの挑戦の機会を待つこともできたと思います。あえて階級最強と目される王者への挑戦を承諾した理由は?
JM:井上こそがバンタム級でNo.1の選手だからです。井上はこのスポーツで私が成し遂げたいことをすでにすべて成し遂げてきた選手なので、彼には莫大なリスペクトを抱いています。彼のように階級最強として認められることこそが目標。そうやってベストを目指すなら、ベストに挑まなければなりません。世界王者になり、統一王者になりたいと願い続けてきて、この試合こそがその機会なのです。
もちろん他の選手たちが試みているように井上との対戦を避けることもできたのでしょうが、それは自分らしくありません。試練に挑み、ハードな戦いの中で自分自身を試し、最高の自分を引き出したいのです。それをやり遂げるために、これまでで最高の準備をします。そして、自分のベストの力が出せれば、井上にも勝てると信じています。