スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
甦ったケンブリッジ飛鳥の進化は止まらない。高橋大輔の元トレーナーが支えるオリンピックへ続く道。
posted2020/09/03 20:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Asami Enomoto
ケンブリッジ飛鳥が、甦った。
今季初戦となった7月24日の東京選手権で大会新記録となる10秒22で始動。続いて、8月23日のセイコーゴールデングランプリでは、国内の一線級が顔をそろえる中、桐生祥秀に次いで10秒16で2着。
そして8月29日に福井で行われた「ナイトゲームズ・イン福井」では自己ベストとなる10秒03をたたき出しただけでなく、桐生に先着して1位でフィニッシュした。
完全復活というよりも、これからの伸びが期待できる走りである。
ケンブリッジの安定感を生んだ人。
2017年のロンドン世界陸上で忘れられないことがある。
ケンブリッジは男子400mリレーの予選ではアンカーを務めていたが、内容に不安を残した走りだったため、決勝ではベテランの藤光謙司にその座を譲った。日本は銅メダルを獲得したが、ケンブリッジの存在感が薄らいだのは否定できなかった。が、来年に延期されたオリンピックを控え、これまでとは違った安定感、落ち着いた雰囲気を醸し出すようになった。
その背景にはなにがあったのか。
ケンブリッジは環境を変えていた。2019年の暮れから渡部文緒トレーナーと協同作業を進め、フィジカルの見直しを行っていた。
渡部氏は、これまでメダリストと仕事をしてきた経験を持つ。フィギュアスケートの高橋大輔だ。
ケンブリッジとの作業はどうやって始まったのか、渡部氏に話を聞いた。