沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
セレクションセール売却総額32億6300万円は驚異的。過去最高の売却総額から見える競馬の今。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byumaichi.com
posted2020/09/02 17:00
8月24日に行われたセレクションセールの売却総額は過去最高を記録。ドゥラメンテ産駒キルシュワッサーの2019(牡)が最高額の7200万円で落札された。
マイナスの影響の中でも活気が。
さて、時間は前後するが、緊急事態宣言下で行われた、4月28日から30日までのJRAブリーズアップセール(2歳馬)は、中山競馬場での騎乗供覧とセリ開催を取りやめ、メールによる入札方式に変更して実施された。5月12日に札幌競馬場で予定されていたHBAトレーニングセールと、6月5日に船橋競馬場で予定されていた千葉サラブレッドセールは中止となった。
であるから、マイナスの影響がまったくなかったわけではないのだが、それでも、千葉サラブレッドセール上場予定馬のうち66頭が楽天サラブレッドオークションにて入札され、58頭が落札。売却額合計が8億1860万円となるなど、マーケットに活気があるところを見せている。
その後に行われたセレクトセール、セレクションセール、そしてサマーセールは、事前登録を簡略化したうえで来場者を限定し、会場内での動線を工夫するなどの感染拡大防止対策を取ったうえで実施された。
下見に来るお客さんが3倍に。
新ひだか町の藤沢牧場の常務であり、エバグリーンセールスコンサインメント代表でもある藤沢亮輔さんはこう話す。
「4月ごろは、今年のセリはどうなるのかと心配していましたが、セレクトセールが好調だったことで、見通しが明るくなりました。セレクションセールが1カ月先に延びたわけですが、その影響で、牧場にセリの下見に来るお客さんが、例年の3倍ぐらいに増えました」
藤沢さんは、生産牧場の役員であると同時に、セリに向けて、馬のコンディション調整(立ち方、歩き方なども教え込む)などを請け負うコンサイナーでもある。両方の立場でセレクトセール、セレクションセール、サマーセールに参加した彼は、売上げアップの要因をどうとらえているのだろうか。