沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
セレクションセール売却総額32億6300万円は驚異的。過去最高の売却総額から見える競馬の今。
posted2020/09/02 17:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
umaichi.com
コロナ禍で世界中の経済が沈滞するなか、日本のサラブレッドビジネスは、驚異的な踏ん張りを見せている。
新ひだか町の北海道市場において、8月24日にはセレクションセール、25日から28日まではサマーセールが開催され、どちらも売却総額、平均価格でレコードとなる売上げを記録した。セレクションセールの売却総額は32億6300万円(184頭)、平均価格は1773万3696円。サマーセールはそれぞれ52億170万円(825頭)、630万5091円であった。
それに先立ち、7月13日と14日に苫小牧市のノーザンホースパークで行われたセレクトセールは、この稿でレポートしたように、2日間合計の売却総額が187億6100万円となり、過去最高だった昨年の205億1600万円に次ぐ歴代2位の売上げを記録した。
それだけでも驚きだったのに、冒頭に記した2つのセリでは過去最高だった2017年を上回り、サマーセールでは、最高落札価格のレコードまで叩き出したのだ。先に「踏ん張り」と記したが、それを通り越した「躍進」と言っていい。
「日高のセリ」セレクションセール。
競走馬のセリを簡単にまとめると、まず、当歳、1歳、2歳と、馬齢ごとにカテゴリー分けして行われる。当歳馬のセリは、セレクトセールのみで行われており、2歳馬のセリは、コースを走っている姿を披露して行われる。そのほか、競走馬ではないが、繁殖牝馬のセリも行われている。
名称が似ているが、セレクトセールは「社台グループのセリ」で、セレクションセールは「日高のセリ」と言える。例年、セレクションセールは、セレクトセールの翌週、7月の第3週に行われている。セレクトセールでは高すぎて手を出せなかった馬主が、翌週のセレクションセールでリーズナブルな馬を狙う、という流れなのだ。今年のセレクトセール1歳馬の平均価格が4553万7118円、セレクションセールのそれが前述したように1773万3696円ということからも、それがおわかりいただけるだろう。
そのセレクションセールが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、8月24日に移行して開催された。確かに、翌日から同じ会場でサマーセールが行われるので、2つのセリが連続することにより、人馬の移動を省力化できる。