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中村憲剛「等々力に神様はいたな」
大怪我からの帰還と2月のやりとり。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/09/01 11:50
復帰戦でのゴールに観衆だけでなく、関係者も拍手を贈った。中村憲剛は今もなお川崎フロンターレ、そしてJリーグの顔である。
途中出場をも引き寄せる力。
自らのゴールで彩った復帰戦。2分後にスーパールーキー・三笘薫もダメ押しの得点を挙げ、チームは5-0の圧勝で幕を閉じている。3試合ぶりの勝利にもしっかりと貢献した。
試合後の会見で中村についてコメントを求められた鬼木達監督は、「ケンゴが登場できる状況をチームとして作り出したこと」を評価しつつ、「持っているな、とも思いました」と笑顔で称えた。
「持っている」というのは、単に結果を出すだけでは言われないだろう。自分ではコントロールできないことが、なぜかそこに現れるということでもある。この日の中村憲剛は、そうした状況をも引き寄せたということなのかもしれない。
「サッカーの神様はすごく厳しいよ」
2月に行った中村とのやりとりに戻ろう。
中村憲剛にとってのサッカーの神様は、一体どんな姿なのか。女神なのか、おじいさんなのか。
こちらの質問に、しばし考えた後、あの時の彼はこう話し始めた。
「女神ではないかな。おじいさんでもないですね……でも、男の人かな」
そんな風にサッカーの神様像を口にしてくれた。男の人なのか……ちょっと厳格そうなイメージなんだろうか。
「サッカーの神様はすごく厳しいよ。まだ勝たせてくれないのか……と思ったことも何度もあったから。でも厳しいけど、最終的には結果をもたらしてくれるので、頑張ったら良いことがあるんだなと思わせてくれる存在かな」
――本当に厳しいけど、全力で頑張って乗り越えたら、ご褒美をくれることもある。中村にとってのサッカーの神様とは、どうやらそんな存在のようである。