オリンピックへの道BACK NUMBER
陸上・中長距離で日本新を連発、
田中希実が元選手の父親と歩む道。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2020/08/30 11:40
8月23日のセイコーゴールデングランプリ1500mを日本新で優勝した田中希実。
「もう10~15秒速く走れないと」
課題はある。
「もう10~15秒速く走れないと世界と戦えない」と網走大会後にコメントしているように、参加標準記録を突破している5000mでの昨年の世界選手権優勝タイムは14分26秒72(田中の自己ベストは15分00秒01)。しかもラスト400mは1分を切るようなペースになる。中盤のギアチェンジも激しい。
それらさまざまな面で、世界で戦うには克服し伸ばさなければいけないポイントがある。
それでも、福士、小林の記録を久しぶりに塗り替えた意味は大きいと言えるだろう。
田中に限らず、中長距離には楽しみな選手が出てきている。
1年下には、5000mで15分05秒40のU20日本記録、歴代5位の記録を持ち、駅伝では無類の強さを見せる廣中璃梨佳、1500mを得意としつつ先月、5000mで日本歴代6位の15分05秒78を出した萩谷楓がいる。
そして2018年に現役に復帰し、今年1月のハーフマラソンで日本新記録、5000mでも今年の大会で東京五輪の参加標準記録をクリアするタイムを出した新谷仁美も健在だ。
中長距離の世界の壁は厚い。多くの選手が挑み、跳ね返されてきた。
そんな中、台頭してきた若い世代がどう向かっていくのか。第一人者の新谷も含め、切磋琢磨することも力になるはずだ。
来年の大舞台を視野に入れつつ、壁を破ろうと、挑んでいく。