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陸上・中長距離で日本新を連発、
田中希実が元選手の父親と歩む道。

posted2020/08/30 11:40

 
陸上・中長距離で日本新を連発、田中希実が元選手の父親と歩む道。<Number Web> photograph by KYODO

8月23日のセイコーゴールデングランプリ1500mを日本新で優勝した田中希実。

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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KYODO

 陸上のトラック中距離800m、1500m。そして3000m以上の長距離においても、近年日本女子の躍進が目立つようになった。

 その中心にいるのが、田中希実だ。

 今夏の成果はめざましい。

 7月に4日間にわたり、北海道各地を転戦したホクレン・ディスタンスチャレンジ。7月4日に行われた士別大会の1500mで、4分08秒68と日本歴代2位の好記録をマークする。

 すると7月8日の深川大会では3000mに出場、8分41秒35の日本新をマークしたのだ。従来の記録は福士加代子が2002年に出した8分44秒40。実に18年ぶりの、しかも大幅な更新だった。

シューズが使用できず「頭が真っ白な状態」に。

 勢いは止まらない。7月12日には地元の兵庫選手権800mで自己記録を2秒62縮める2分4秒66で優勝。

 7月15日には、ホクレン・ディスタンスチャレンジの網走大会5000mで15分02秒62と自身2番目の好記録で走った。

 さらに8月23日、国立競技場で行われたセイコーゴールデングランプリに出場。1500mを4分05秒27のタイムで優勝。これは2006年に小林祐梨子が出した4分07秒86の日本記録を14年ぶりに更新する日本新記録だった。

 このレース前には懸念材料もあった。

 世界陸連の新たな規定で、800m以上の種目の場合、靴底が25ミリ以下のシューズしか使用できなくなっていた。

 ホクレン・ディスタンスチャレンジ時の使用靴は使えなくなり、新規定に沿って靴を用意したが、当日、規定に合っていないことが判明。「頭が真っ白な状態」になったという。

【次ページ】 「レース自体の記憶はないですけど」

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