牝馬も勝てることを証明した札幌記念。

　結果は陣営が考えている以上に実りのあるものだった。道中、中団を進んだエアグルーヴは、3コーナーあたりで外を回りながら自ら進出。これをマークするようにその後ろから上がってきたジェニュインを、最後の直線では逆に突き放した。2分00秒2の時計で走り切ると、2着エリモシックには2馬身半、“モノサシになる”と考えていたジェニュインには約3馬身の差をつけてゆうゆうと真っ先にゴールに飛び込んでみせた。

「デビュー前から良い馬ではあったけど、この札幌記念の前あたりからグンと良くなった感じがありました」

　主戦の武豊騎手はそう語った。一方、伊藤調教師はこの札幌記念が大きなターニングポイントだったと続けた。

「札幌記念を圧勝出来た事で、次は天皇賞へ行こうとなったし、実際に天皇賞でも勝ち負け出来ると考えられました。彼女にとって大きな意味を持った札幌記念になりました」

　ウオッカやダイワスカーレット、ブエナビスタやジェンティルドンナなど、昨今は牡馬にまざっても負けないどころかむしろ上と思わせる牝馬が次々出て来るが、その先がけとなったのがエアグルーヴだろう。そして、エアグルーヴが牡馬相手にも充分に通用する事を最初に証明したのが札幌記念だったというわけだ。その札幌記念が今週末に行われる。奇しくも牝馬のラッキーライラックやノームコアが上位人気に推されそうなメンバー構成だが、果たして今年は今後どのような形につながるドラマが待っているだろうか。ゲートインを心待ちにしたい。