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34歳福澤達哉がパリ・バレー再挑戦。
選手、父として完全燃焼する姿を! 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byTakahisa Hirano/AFLO

posted2020/08/13 20:00

34歳福澤達哉がパリ・バレー再挑戦。選手、父として完全燃焼する姿を!<Number Web> photograph by Takahisa Hirano/AFLO

昨季に続き、今季もパリ・バレーでプレーする福澤。9日、現地へと出発した。

「『あ、バレーボールって楽しいな』って思える」

 フランスリーグは外国人枠がないため、世界中のさまざまな国から選手が集まる。昨季のパリ・バレーには6カ国の選手が所属した。言葉や文化、考え方が違う選手たちの集合体がチームになるまでには、時間と労力を要した。連敗が続いてチームがバラバラになった時期のミーティングでは、福澤も英語で積極的に発言した。強い個が集まるだけでなく、互いに理解し結びつくことが必要だと学んだ。

 メンバーが変わった今季は、そうした作業もまた1からやり直しだが、福澤はそれも歓迎する。

「新しい価値観や新しい環境に身を置くことによって、自分の引き出しがまた1つ2つ増えるかもしれないという、そこへの期待感が僕自身あります。

 昨季フランスで1年戦ってみて、まだこの年齢でも、伸びしろというか、成長できる余地はあるんだと感じた。スキルだけじゃなくて、バレーボールに対する考え方であったり。そういうものに触れた時に、『あ、バレーボールって楽しいな』って思えるんです」

 今季さらにどれだけ成長できるかという自分への期待感に、目を輝かせる。

「納得できる挑戦を続けてこれたかと……」

 とはいえ、新型コロナウイルスの感染が世界的に続く中で、海外リーグでプレーすることに迷いがなかったわけはない。

「当然、今も感染リスクというものに対してすごく不安はあります。向こうに行って万が一感染した場合に、医療体制はどうなのかとか、ましてや家族と離れて過ごすので、僕以上に妻や子供たちには負担がかかると思います。本当にいろんなメリットとデメリットを考えて、家族とも相談しましたが、そうしたデメリットを踏まえた上で、今、僕はこの道を選択するんだというのが自分の答えでした」

 福澤がこだわったのは、どんな結末を迎えようとも、最後まで挑戦し続けるということだった。

「東京オリンピックがどうなるかわからないという状況の中で、本当に最悪のケースとして、来年もできません、オリンピックが中止になりました、となった時に、自分自身がそこに対して、納得できる挑戦を続けてこれたかというところは、一番大きなポイントとして考えていました。

 結果的にオリンピックが開催されなかったとしても、最後までやりきったという、そこまでの経緯、アプローチというものは、選手としてだけじゃなく、人として、セカンドキャリアも含めて、この先自分が進んでいく中で大きな糧になるんじゃないかなと思っています」

【次ページ】 オリンピックの存在は大きい。でも……。

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