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レアンドロ・ダミアンの“髭ポーズ”。
通訳が明かす秘話、敬愛する父へ。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/12 08:00
大分戦でゴールを決めた後、髭ポーズを見せた川崎FWレアンドロ・ダミアン。この日は愛息に向けたパフォーマンスも披露した。
「お父さんは自分の人生のすべて」
「本当にお父さんは自分にとって人生のすべてだと思っています。お父さん1人で自分をここまで育てあげてもらいましたし、常に自分たちを一生懸命育てながら仕事をしてくれた。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。いまは自分がお父さんに対してできること全てをやっていきたいと思っています」
父親を「自分にとって人生のすべて」と言い切る眼差しは、優しく、それでいて力強かった。ここまで育ててもらった感謝の思いが、あの髭ポーズには込められているのだ。
偉大な父親の下、ダミアンは人間として大きく成長を遂げた。今季は日本で2年目の挑戦を迎えているが、チームにフィットするべく日に日にプレーを改良。Jリーグのスピードに慣れつつ、チームでの役割をしっかりとまっとうし、自分よがりになるわけではなく、周りを巧みに使いながら勝利のために全力を注いでいる。
有観客初戦ではハグポーズを披露。
また、サポーターを喜ばせたいという思いも強い。ゴールを決めれば、観客を喜ばすためのゴールパフォーマンスを披露。リーグ再開後、初の有観客試合となった第4節・柏戦で得点を決めた時には、「本当に自分の仲間たち、家族、サポーターの皆さんたちが自分たちを見てくれている。握手すらできない状況の中で、自分たちと一緒に戦ってもらっているという思いを込めて」ハグをするポーズで観客を沸かせた。
チームのため、サポーターのため、そして敬愛する父親のために、ダミアンはさらなるゴール量産を見据えている。
「お父さんのおかげで自分はプロのサッカー選手になれたと思っています。いまブラジルに住んでいるので距離はありますけど、ファンにはもちろん、お父さんのためにもたくさんのゴールを奪って、たくさんお父さんへのパフォーマンスをして、彼に喜んでいただきたいと思っています。そのために引き続き精進していきたいと思います」
右足で、左足で、ヘディングで。数々のゴールを奪うダミアンは、今日もスポットライトの下で、あの髭ポーズを父親に向けて披露する。