大山加奈のVolleyball is Life BACK NUMBER
大山加奈が虹プロにハマった理由。
褒めることは簡単なようで難しい。
text by
大山加奈Kana Oyama
photograph byToshiya Kondo
posted2020/08/09 11:40
子どもたちの指導を通して「褒める」ことの大切さを痛感していた大山氏。日本代表時代は自分の短所ばかりに目が向いていたと振り返った。
短所ばかりに目が向いた代表時代。
代表選手としてプレーしていた頃は、日本代表という「チーム」に選ばれ、残るためにただただ必死で練習をして、「ここはみんながライバルだ」と言われる毎日でした。長所よりも短所ばかりに目が向き、「自分の武器であるパワーでアピールしよう」と思うよりも「ミスをして怒られませんように」ということばかり考えていました。
私はもともと気が弱く、マイナス思考だったこともありますが、練習の中で常に「加奈はレシーブが弱点」と言われ続けたことが頭にこびりついていて、チームに迷惑をかけることが怖かったんです。チームスタイルとして「2つ以上のポジションができなければ試合に出るチャンスはない」ということが掲げられ、「加奈はそれができない」と言われた時には、自分の居場所はここにはないんだと落胆することも。憧れだった日本代表に入りたいというキラキラした気持ちよりも、何とか今を乗り切ろうという気持ちばかりが先行していました。
自分を認められなかった「後悔」。
もしもあの時、「レシーブができないからダメ」と頭ごなしに否定されるのではなく、「パワーという武器があるのだから、レシーブを伸ばせばもっとよくなる」と長所をアピールしていいんだと思えるきっかけがあったらどうなっていたのか。誰にも負けないと思っていたはずのパワーやスパイクを自信につなげられなかったこと、自分を認めてあげられなかったことを、今でも後悔しています。
誰のことも責めず、時には指摘しながらも常にいいところを褒め、全員が「特別」だと認めるParkさんの言葉が心に深く染みたのは、そんな思いがあったからかもしれません。