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横浜高トリオに感じる一流の佇まい。
元スーパー中学生はドラフト候補へ。 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2020/08/03 07:00

横浜高トリオに感じる一流の佇まい。元スーパー中学生はドラフト候補へ。<Number Web> photograph by Yu Takagi

横浜高校にはドラフト候補が3人も。左から木下幹也、松本隆之介、度会隆輝。

昨春センバツは初戦敗退。

 そんな順調に成長を続ける3人だったが、2年春からは苦難が続いた。

 昨春のセンバツ甲子園では、エース及川が3回途中でノックアウトとなると、救援した松本と木下が悪い流れを止められず。度会もその年の1月に負った右足首骨折の影響により代打での出場となったが、ライトフライに終わり、初戦で対戦した明豊高(大分)に5対13と敗戦を喫した。

 そして3人が口を揃えて「最も苦しかった時期」として挙げたのが、昨夏の神奈川大会準々決勝だ。県有数の進学校でもある相模原に6対8と逆転負け。「1週間くらい落ち込みました」と2番手で登板した松本が話すようにショックは大きかった。また、夏の神奈川大会で公立校に敗れたのは22年ぶりということもあり、「勝って当たり前」と思われている名門校ゆえの批判の声が彼らの耳にも多く入ってきた。

 秋も神奈川大会準々決勝で桐光学園に0対3の完封負けを喫し、センバツを逃した。だからこそ彼ら3人にとっても「主力としての甲子園出場」は悲願であり、今年の夏に懸ける思いは強かったはずだ。

 しかし最大の目標にしていた甲子園は中止となった。それでも彼らは決して後ろ向きな発言をしない。

「優勝して何かを残せればいい」

「何が足りないのか? 何をすればいいのか? いろんな人の意見を聞いて参考にしたり“生かせるもの全てを生かして成長する”という気持ちでずっとやってきました」と、冬場のトレーニングを松本が振り返れば、度会は新型コロナ禍による自粛期間を「この時期でしかできないことがたくさんあったので、ウェイトトレーニングなどを重点的にやりました」と話し、それぞれが自らと向き合うことをやめなかったと力強く教えてくれた。

 甲子園中止のショックは当然大きいはずだが、木下は「よく考えれば(例年と違い)3年生全員で戦うことのできる良い機会なので、(神奈川大会で)優勝して何か残せればいいと思います」と代替大会へ前を向くと、松本は「神奈川大会で優勝することだけを目指して、そのためにできることは何でもやって、自分が優勝に貢献できるようにしたいです」と語った。度会も「個人的に打率8割以上を残して、走って守れる成長した自分も皆さんに披露できる夏にしたいです」と意気込んだ。

 先日には、4月に就任した村田浩明監督の誕生日を3年生たちが中心となってサプライズで祝うなどチームの団結力は強い。

【次ページ】 プロに入ること、ではなく「超一流」。

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